資金調達の方法一覧
このページは、事業のお金を用意する手段には何があり、それぞれ費用と速さがどう違うのかを一枚で見渡すためのページです。個別のサービスを比べる前に、まず手段そのものの位置関係を知っておくと、あとの判断がぶれません。
最初に、7つの手段を費用と速さで並べた表を出します。次に、費用の安い順に一つずつ説明します。最後に、それぞれの詳しい解説ページをご案内します。
7つの手段を費用と速さで並べる
まず全体像です。表の上にあるものほど費用が安く、下にあるものほど早くお金になります。安いものは時間がかかり、早いものは高い——資金調達はこの関係から基本的に逃れられません。
| 手段 | 費用の目安 | 入金まで | 主に向くとき |
|---|---|---|---|
| 補助金・助成金 | 返済不要 | 数か月(後払い) | 先の投資に備えるとき |
| 公的融資(公庫など) | 年1〜3%前後 | 2週間〜1か月半 | 時間に余裕があるとき |
| 銀行・信用金庫の融資 | 年1〜3%前後 | 1か月〜 | 取引実績があるとき |
| 支払条件の交渉・リスケ | 原則ゼロ | 即日〜数週間 | 借りずに乗り切りたいとき |
| 換価の猶予(税金の分割) | 原則ゼロ | 数週間 | 税金が一括で払えないとき |
| 支払いの先送り(カード払い) | 手数料3%前後 | 即日〜数日 | 出ていくお金を遅らせたいとき |
| 事業者ローン | 年5〜18%前後 | 即日〜数日 | 売掛金がなく急ぐとき |
| ファクタリング | 1回あたり1〜20% | 最短数時間〜数日 | 売掛金があり急ぐとき |
※費用は一般的な目安です。実際の条件は事業の状況や各社の審査によって変わります。手段の名前はどれも解説ページへのリンクになっています。知らない言葉があれば、用語集もご利用ください。
費用の安い順に見ていきます
1. 補助金・助成金(返済不要/ただし後払い)
返さなくてよいお金なので、費用の面では最も有利です。ただしほとんどが「先に使ってから、あとで受け取る」後払いです。採択されても入金は数か月先になるため、目の前の支払いには間に合いません。むしろ、補助事業の立て替えで資金繰りが苦しくなることさえあります。
公募中の制度は、中小企業庁の補助金の公募・採択で調べられます。補助金と助成金の違いから知りたい方は、初心者向けの解説ページをご覧ください。
2. 公的融資(日本政策金融公庫・制度融資)
金利は年1〜3%前後で、民間より低く設定されています。無担保・無保証人で借りられる制度もあります。赤字や創業直後でも相談に乗ってもらえるのが、民間金融機関との大きな違いです。
弱点は時間です。申込から入金まで、早くても2週間、通常は1か月前後かかります。「いま苦しい」ではなく「これから苦しくなりそう」の段階で動く手段だと考えてください。公庫・制度融資・マル経の違いは初心者向けの解説ページに、申込先は日本政策金融公庫の公式サイトにあります。
すでに申し込んで断られてしまった方は、次のページで理由の見立てと次の一手を説明しています。
3. 支払条件の交渉・リスケジュール(費用は原則ゼロ)
見落とされがちですが、お金を借りずに済ませる方法があります。仕入先に支払いを1か月待ってもらう、銀行に返済額の一時的な減額(リスケジュール)を申し入れる、税金の納付を猶予してもらう——いずれも費用はかかりません。
「言い出しにくい」と感じる方が多いのですが、黙って支払いを遅らせるより、先に事情を伝えたほうが関係は保てます。銀行・仕入先・役所それぞれへの切り出し方は交渉とリスケの解説ページにまとめました。税金については、国税庁が納税の猶予制度を公開しています。滞納がある場合は、他の手段より先にこちらをご確認ください。
4. 支払いの先送り(請求書のカード払い)
ここまでは「入ってくるお金を増やす」話でしたが、これは出ていくお金を遅らせる方法です。銀行振込しか受け付けない支払いを、代行会社を通じてクレジットカード決済に置き換え、実際の引き落としをカードの締め日まで先送りします。手数料は3%前後が目安です。
5. 事業者ローン
ノンバンクの事業者向け融資です。金利は年5〜18%程度と公的融資より高いものの、最短即日で借りられるところがあります。売掛金がない業種——小売や飲食のように現金商売の場合は、こちらが現実的な選択肢になります。借入なので、返済は毎月続きます。
6. ファクタリング
取引先に出した請求書(売掛金)を買い取ってもらい、入金日より前に現金を受け取る方法です。借入ではないため、赤字や税金の滞納があっても、審査で重く見られるのは自社より取引先の支払い能力になります。最短で数時間の入金に対応するところもあります。
ただし費用は最も重くなります。手数料10%を、入金まで30日の請求書に使えば、年利に直すとおよそ120%相当です。一時的な穴埋めには有効ですが、毎月繰り返すと資金繰りは確実に悪化します。この点は次の解説ページで詳しく扱っています。
ファクタリングの詳しい解説
手段の中では選択肢が多く、判断が難しいのがファクタリングです。仕組みから会社の選び方まで、目的別にページを分けています。まず全体を知りたい方は、いちばん上からお読みください。
そのほかの手段の解説
借りる前に、自社のお金の流れをつかむ
どの手段を選ぶかの前に、いつ・いくら足りなくなるのかが分かっていないと、必要以上に高い手段を選んでしまいます。次の4本は、社内の数字だけで進められる内容です。
備えとして知っておく制度
いま足りない資金を作る手段ではありませんが、加入していれば次に同じことが起きたときの選択肢になります。どちらも国の制度で、掛金が税務上の優遇を受けられます。
手段が決まらないときは
手段の中身がわかっても、自分の場合にどれが合うかは別の問題です。実際には、いつまでに必要か・法人か個人か・いくら必要かという3つの条件で、選べる手段はかなり絞られます。条件から絞りたい方は、次のページへお進みください。