キャッシュフロー改善|3つの区分で原因を探す

更新日: 2026-08-21

この記事でわかること

  • キャッシュフローは、営業・投資・財務の3区分に分けて増減を確認します。
  • 対象となる資金は、現金及び現金同等物です。
  • 営業活動では、売上債権の回収の滞りや在庫の増加を確かめます。
  • 資金繰り表とキャッシュ・フロー計算書は、区分の分け方が異なります。
  • 借入と返済は財務活動に分け、営業活動の増減と混ぜずに見ます。
目次

まず結論:キャッシュフローは3つの区分に分けて直します

キャッシュフローを改善したいときは、現金の増減をひとまとめにしません。営業活動、投資活動、財務活動の3区分に分けます。まず、どの区分で現金が増え、どの区分で減ったかを確かめましょう。

営業活動の区分は、企業本来の営業活動による増減を表します。投資活動の区分は、設備投資や有価証券などへの投資による増減です。財務活動の区分では、外部からの借入や返済などによる増減を見ます。

改善の出発点は、現金を減らした区分の特定です。

区分が分かれば、確認する取引も絞れます。営業活動なら売上債権の回収の滞りや在庫の増加を見ます。投資活動なら減少分が営業活動の増加の範囲内かを確かめます。財務活動なら返済による減少が営業活動に対してどの程度かを確認します。

ただし、資金繰り表にも似た名前の区分があります。両者は同じ分け方ではありません。表の名前ではなく、各区分が表す取引を読んでください。

仕組み:まず「資金」の範囲がどこまでかを決めます

3つの区分は、公表された会計の基準で定められています。

キャッシュフローの増減を比べる前に、何を「資金」として数えるかをそろえます。金融庁の作成基準では、対象となる資金の範囲を現金及び現金同等物としています。

現金は、手許現金及び要求払預金です。現金同等物(げんきんどうとうぶつ)は、容易に換金でき、価値の変動についてわずかなリスクしか負わない短期投資を指します。

注解では、具体例として定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパーが挙げられています。売戻し条件付現先、公社債投資信託も例に含まれます。期間は、取得日から満期日または償還日まで3カ月以内のものです。

先に資金の範囲を決めれば、同じ対象の増減を区分ごとに追えます。一会計期間のキャッシュフローの状況を報告するという、計算書の目的にも沿った見方です。

手許現金だけを見ている場合と、現金同等物まで含めた場合では、確認対象がそろいません。まず何を集計対象にしたかを明らかにし、そのうえで3区分を見てください。

種類:営業・投資・財務の3区分は、それぞれ何を指すか

営業活動によるキャッシュフローには、営業損益計算の対象となった取引が含まれます。さらに、投資活動と財務活動以外の取引によるキャッシュフローも記載します。企業本来の営業活動から得たキャッシュの増減を捉える区分です。

営業活動がプラスなら、営業活動から順調にキャッシュが得られているとされます。ここでは、売上債権の回収の滞りや在庫の増加といった非効率な部分を見つけられます。売上債権(うりあげさいけん)は、この確認項目の一つです。

投資活動によるキャッシュフローは、固定資産の取得と売却を含みます。現金同等物に含まれない短期投資の取得と売却なども対象です。設備投資や有価証券などへの投資による増減を表します。

投資活動は通常、マイナスになります。確認点は、その減少分が営業活動による増加の範囲内かです。マイナスという符号だけで止まらず、営業活動との関係を見ます。

財務活動によるキャッシュフローは、資金の調達及び返済による増減です。外部からの資金の借入や返済などが、ここに表れます。

3区分を一緒に見るための指標が、フリーキャッシュフローです。これは営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計で求めます。営業と投資を足した結果として確認してください。

比較:資金繰り表の区分とは、分け方が違います

資金繰り表の作り方を読む

資金繰り表は、一定期間内の現金の動きをまとめる資料です。手持ち資金の過不足を可視化する目的があります。過去から作る資金繰り実績表と、将来の動きを見る資金繰り予定表があります。

一方、キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間のキャッシュフローの状況を報告するために作るものです。ここでは取引を営業・投資・財務に分けます。

違いが分かりやすいのは「財務」の扱いです。資金繰り表の財務収支は、直接事業に関連のない収入や支出を指します。具体的には借入金と返済です。

キャッシュ・フロー計算書の財務活動は、資金の調達及び返済によるキャッシュフローです。同じ借入と返済が現れても、表全体の区分は別の考え方で作られています。

資金繰り表の区分を、そのまま3区分に置き換えないでください。

資金繰り表では、実績と予定を使い分けられます。キャッシュフローを3区分で見るときは、一会計期間の取引を営業・投資・財務に分けます。何を知るための表かを先に確かめると、区分名だけで判断するのを避けられます。

手順:どの区分が現金を減らしているかを確かめます

区分ごとに集計すると、どこで現金が減ったかが見えます。

最初に、対象を現金及び現金同等物にそろえます。次に、一会計期間のキャッシュフローを営業・投資・財務へ分けます。投資活動と財務活動は、主要な取引ごとにキャッシュフローを総額表示します。

営業活動では、まずプラスかどうかを見ます。プラスなら、営業活動から順調にキャッシュが得られているとされます。続いて、売上債権の回収の滞り在庫の増加がないかを確かめます。

営業活動の中にある非効率な部分を切り分ける段階です。

投資活動では、減少分を営業活動による増加と比べます。投資活動は通常マイナスになるため、符号だけではなく、営業活動による増加の範囲内かが重要な確認点です。

次に、営業活動と投資活動を足します。これがフリーキャッシュフローです。2区分を合計してから、財務活動を分けて見ると、借入や返済を営業活動の結果と混ぜずに確認できます。

財務活動では、借入による調達と返済による減少を見ます。返済による減少分が、営業活動によるキャッシュフローに対してどの程度かを比べます。これにより、返済の順調さを判断できます。

見る順番をまとめると、資金の範囲、営業、投資、財務です。最後に各区分の関係を確かめます。減少した区分と、その区分を構成する主要な取引まで進めば、確認対象が明確になります。

手順:営業活動の区分は、直接法と間接法のどちらでも作れます

営業活動によるキャッシュフローは、直接法または間接法で表示できます。どちらの表示でも、営業活動の区分である点は変わりません。

ここで先に確かめたいのは、表示方法の名前よりも営業活動の増減です。営業活動がプラスかを見たうえで、売上債権の回収の滞りや在庫の増加を確認します。

投資活動と財務活動には別の表示上の決まりがあります。両区分は、主要な取引ごとにキャッシュフローを総額表示します。そのため、営業活動の直接法・間接法という選択と混同しないようにします。

直接法か間接法かを確認したら、営業活動として表された増減を読みます。改善点を探す場面では、営業・投資・財務という区分を保ち、それぞれの確認点へ進みましょう。

黒字なのに資金が足りない理由を読む

注意点:借りて埋めた分は、財務活動の区分に出ます

借入は、外部からの資金の調達です。その増加は財務活動によるキャッシュフローの区分で捉えます。営業活動によるキャッシュフローとは分けてください。

現金が増えていても、どの区分から増えたかで読み方が変わります。営業活動のプラスは、営業活動から順調にキャッシュが得られている状態とされます。一方、借入による増加は財務活動です。

現金の増加だけでなく、その増加が営業か財務かを確かめます。

返済も財務活動に含まれます。見るべき点は、返済による減少分が営業活動によるキャッシュフローに対してどの程度かです。この比較から、返済の順調さを判断できます。

借入と返済を分けて確認すれば、営業活動が生んだキャッシュと、外部から調達した資金を混同しません。3区分の役割を保ったまま全体を見ることが大切です。

資金繰りを改善する順番を見る

今日やる一歩

まず、確認する一会計期間を決め、その期間の現金及び現金同等物の増減を用意します。取引を営業・投資・財務の3区分に分け、各区分の増減を書き出してください。

営業活動では、売上債権の回収の滞りと在庫の増加を確認します。投資活動では、減少分が営業活動の増加の範囲内かを見ます。財務活動では、借入と返済を分け、返済による減少を営業活動と比べましょう。

最後に、営業活動と投資活動を足してフリーキャッシュフローを求めます。どの区分が現金を減らしたかと、主要な取引を並べれば、次に確かめる場所が見えます。

資金繰り表も使う場合は、区分をそのまま移しません。実績を見る表か、予定を見る表かを確認します。そのうえで、資金繰り表と3区分の目的を分けて読み進めてください。

参考にした公的資料

このページは資金調達の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。制度や条件は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず各機関・各社の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

キャッシュフローは何区分に分けますか?

営業活動、投資活動、財務活動の3区分に分けます。

現金同等物とは何ですか?

容易に換金でき、価値の変動についてわずかなリスクしか負わない短期投資です。

フリーキャッシュフローはどう求めますか?

営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローを足して求めます。

借入金と返済はどの区分ですか?

資金の調達と返済に当たるため、財務活動によるキャッシュフローの区分です。

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