訪問介護の開業資金|常勤換算2.5から

更新日: 2026-08-31

この記事でわかること

  • 事業所ごとに置く訪問介護員等の員数は、常勤換算方法で2.5以上です。
  • サービス提供責任者は、利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上です。
  • 新規に指定を受ける場合、利用者の数は推定数で計算します。
  • 管理者は、事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の者を置きます。
  • 設備は、事業の運営に必要な広さを有する専用の区画と、必要な備品等です。
目次

訪問介護の開業資金を考えるとき、先に見るべきなのは高価な設備ではありません。 指定を受ける初日から必要となる人の配置が、資金計画の中心です。

省令が設備に求めるのは、必要な広さを持つ専用の区画と、必要な設備や備品等です。対して、人員には明確な下限があります。設備は軽くても、人員は軽くできません。

まず結論:設備ではなく、人の数で資金が決まります

結論は、訪問介護の開業資金のほとんどが人件費に寄るということです。専用の区画は必要ですが、大きな設備投資を求める基準ではありません。

一方、訪問介護員等は常勤換算方法で2.5以上が必要です。サービス提供責任者と管理者にも、それぞれ配置の基準があります。利用者がまだ少ない時期でも、人員基準は先に満たします。

さらに、サービスを提供した日と報酬が入る日は同じではありません。

報酬の入金まで月をまたぐ間にも、配置した人の人件費は出ていきます。したがって、開業資金は区画の準備だけでなく、入金前の人件費を支える資金として考える必要があります。

設備の一覧から予算を始めると、資金の重心を見誤ります。人員基準、利用者の推定数、入金までの空白の順で見ると、必要な資金の形が明確になります。ここがこの記事の出発点です。

仕組み:訪問介護員等は常勤換算2.5以上が下限です

訪問介護は人が動くサービスです。人数の下限が資金の下限になります。

指定居宅サービス等基準第5条第1項は、事業所ごとの人員を定めています。置くべき訪問介護員等の員数は、常勤換算方法で2.5以上です。

この2.5以上は、開業後に利用者が増えてから考える数字ではありません。指定訪問介護事業を行う事業所ごとに満たす人員基準です。開業時点の資金計画に、最初から入れる下限になります。

ここで大切なのは、単純な在籍人数だけを見ないことです。

基準の表現は「常勤換算方法で2.5以上」です。そのため、資金を組み立てる際も、予定する人の働き方を常勤換算の数字へ結び付けます。名簿があることと、基準を満たすことは別として確認します。

設備を必要最小限にしても、この人員の下限は消えません。だから、訪問介護の開業資金は、設備費より人件費の影響を強く受ける構造になります。短く言えば、人が資金の土台です。

条件:サービス提供責任者は、利用者40人ごとに1人

訪問介護員等の総量に加えて、サービス提供責任者の配置も必要です。第5条第2項では、常勤の訪問介護員等のうちから置くことが求められています。

基本の人数は、利用者の数が40またはその端数を増すごとに1人以上です。端数がある場合も、次の1人が必要になる基準です。利用者数の想定は、人件費の見通しに直結します。

サービス提供責任者の員数は、利用者の数に応じて常勤換算方法によることができます。

ただし、誰でもその役割に充てられるわけではありません。第5条第4項は、介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者を求めています。さらに、専ら指定訪問介護に従事する者を充てるのが原則です。

利用者への指定訪問介護の提供に支障がない場合には、従事できる別の事業所があります。同一敷地内の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所です。指定夜間対応型訪問介護事業所も該当します。

資金計画では、訪問介護員等の2.5以上だけで終わらせません。利用者数に対応するサービス提供責任者まで配置案へ落とし込みます。役割と人の対応を先に確認することが重要です。

費用:設備は専用の区画。大きな投資は求められません

求められるのは、事業の運営に必要な広さを持つ専用の区画です。

第7条第1項が求めるのは、事業の運営に必要な広さを有する専用の区画です。加えて、指定訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えます。

基準には、大きな設備投資の内容や金額は示されていません。設備の豪華さではなく、運営に必要な区画かという確認になります。必要な設備や備品等も、提供に必要かという観点で見ます。

この軽い設備基準が、訪問介護の資金構造を分かりやすくします。

専用の区画を準備する一方で、人員は常勤換算2.5以上を満たします。サービス提供責任者と常勤の管理者も必要です。したがって、設備を整えた後も続く人件費を中心に据えます。

開業資金を考える順番は、設備を膨らませることではありません。まず必要な区画と備品等を切り分けます。次に、基準を満たす人の配置に必要な資金を重ねます。

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時間:働いた分の報酬が入るまで、月をまたぎます

介護給付費等には、提出と支払いの予定があります。岩手県国民健康保険団体連合会は、毎月10日の提出締切と、提出月の翌月末日の支払日を公表しています。

ここで拾うべき点は、細かな日付の計算ではありません。

サービスを提供してから報酬が入るまでには、月をまたぐ空白があります。働いた分が、すぐ同じ日に入金される仕組みではありません。この時間差より先に、人の配置は始まります。

開業初日から人員基準を満たすなら、入金前にも人件費が発生します。設備費が軽く見えても、報酬を受け取る前の人件費は別に支えなければなりません。

つまり、必要資金を見る軸は二つです。ひとつは人員基準が求める人の量です。もうひとつは報酬が入るまでの時間であり、人数と時間を一緒に見る必要があります。

この組み合わせが、訪問介護の開業資金の芯です。

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手順:推定の利用者数から、必要な人数を出します

推定の利用者数を置いてから、必要な人数と人件費を積み上げます。

新規に指定を受ける場合、前3月の平均値はまだありません。第5条第3項は、この場合の利用者数を推定数によると定めています。

最初に、開業時の利用者の推定数を置きます。次に、40またはその端数ごとに必要なサービス提供責任者を出します。推定数が、人員計画の入口です。

続いて、訪問介護員等が常勤換算方法で2.5以上になるかを確かめます。

その中で、サービス提供責任者に充てる人が基準に合うかを確認します。管理者についても、専らその職務に従事する常勤の者を置く形を作ります。人数だけでなく、役割を重ねて確認する手順です。

配置案ができたら、人件費へ結び付けます。さらに、報酬の入金まで月をまたぐ空白も重ねます。これで、開業前に必要な人件費の範囲を考えられます。

手順をまとめると、推定利用者数、サービス提供責任者、常勤換算2.5以上、管理者の順です。最後に、入金より先に出る人件費を確認します。設備は専用の区画と必要な設備及び備品等を別に整理します。

数字を置くときは、根拠のない利用者数や人件費を作らないことも大切です。

この記事では、個別の給与額や開業資金の総額を示していません。必要な人数と入金までの空白は示せますが、金額は配置案に対応して決めるためです。先に基準、後から金額の順にします。

比較:サービス提供責任者を3人置くと、基準が変わります

基本は、利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上です。ただし、第5条第5項には、利用者50人ごとに1人以上とできる場合があります。

この扱いには、複数の条件があります。

まず、常勤のサービス提供責任者を3人以上配置します。次に、その業務に主として従事する者を1人以上配置します。さらに、サービス提供責任者の業務が効率的に行われていることが必要です。

条件を満たす指定訪問介護事業所では、利用者50人またはその端数ごとに1人以上とできます。3人置けば自動的に変わるわけではありません。他の条件も同時に満たす場合の基準です。

新規開業の計画では、基本の40人基準と条件付きの50人基準を混ぜず、採用予定だけで特例を前提にしないようにします。

比較の目的は、人を減らすことではありません。どの基準を使う配置なのかを明らかにして、必要な人件費との対応を崩さないことです。

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注意点:管理者は専らその職務に従事する常勤です

第6条は、事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置くと定めており、管理者を人数から外すことはできません。

ただし、事業所の管理上支障がない場合には例外があります。管理者は、その事業所の他の職務に従事できます。ほかの事業所や施設等の職務に従事することもできます。

原則と例外を逆にしないことが大切です。

資金計画では、まず専従の常勤管理者を置く原則から確認します。そのうえで、管理上支障がない場合に当たるかを分けて考えます。兼務を前提に人数を削る前に、管理上の支障を確認します。

また、資金の空白を埋める方法を選ぶ際にも注意が要ります。金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行う業者がいるとして注意を促しています。

今日やる一歩

今日やることは、推定利用者数と配置予定者を一枚に並べ、40人またはその端数ごとに1人という基本基準を当てはめることです。

次に、訪問介護員等の全体が常勤換算方法で2.5以上かを確認します。

管理者は、専らその職務に従事する常勤の者として別に確認します。サービス提供責任者に充てる人の要件と従事の形も見ます。一人ずつ、役割と基準を対応させることが要点です。

その配置にかかる人件費を、報酬が入る前の期間にも置きます。専用の区画と、提供に必要な設備及び備品等は別枠にします。これで、設備ではなく人から始める資金表になります。

資金が不足する場合に確認できる制度として、日本政策金融公庫の支援資金があります。

「新規開業・スタートアップ支援資金」の対象は、新たに事業を始める方です。事業開始後おおむね7年以内の方も対象です。融資限度額は7,200万円とされています。

返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。据置期間はいずれも5年以内です。人件費を中心に見るなら、運転資金の条件を分けて確認します。

制度の限度額を、そのまま必要額とは考えません。

先に人員基準と入金までの空白から必要資金を組み立てます。その後に、支援資金の対象や返済期間を確認します。必要額の根拠は、実際の配置案に置きます。

参考にした公的資料

この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。

よくある質問

訪問介護員等は何人必要ですか?

指定居宅サービス等基準第5条第1項により、事業所ごとに置くべき訪問介護員等の員数は常勤換算方法で2.5以上です。

サービス提供責任者は何人置きますか?

同基準第5条第2項により、利用者の数が40またはその端数を増すごとに1人以上を、常勤の訪問介護員等のうちから置きます。

指定を受ける前は利用者の数をどう数えますか?

同基準第5条第3項により、利用者の数は前3月の平均値ですが、新規に指定を受ける場合は推定数によります。

訪問介護事業所の設備基準はどうなっていますか?

同基準第7条により、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設け、提供に必要な設備及び備品等を備えます。

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