経営セーフティ共済とは|無担保で最高8,000万円

更新日: 2026-08-07

この記事でわかること

  • 取引先が倒産したとき、無担保・無保証人で借りられる公的な共済であること
  • 掛金は月5,000円から20万円まで自由に選べること
  • 借入限度額は掛金の最高10倍(上限8,000万円)であること
  • 掛金を損金または必要経費に算入できること
  • 令和6年10月1日以降の再加入では扱いが異なること
目次

取引先が倒産したら、うちはどうなるのか。

売掛金が回収できなくなったとき、自社まで倒れることがあります。これを連鎖倒産と呼びます。

このページでは、それに備える公的な制度を整理します。

最初に制度の全体像を示します。次に仕組みを説明し、そのあと限度額の計算方法を確認します。最後に、いま資金が必要な方に向けた注意点を書きます。

まず結論:無担保・無保証人で最高8,000万円

制度の名前は経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)です。運営は中小企業基盤整備機構です。

項目内容
掛金月額5,000円〜20万円(自由に選べる)
借入限度額掛金の最高10倍(上限8,000万円
担保・保証人不要
掛金の扱い損金または必要経費に算入できる

(出典: 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済の特長」・2026年8月7日確認)

掛金を経費にしながら、万一に備えられるという設計です。

公的な制度です。加入は取引先の倒産に備えるためのものです。

仕組み:いつ借りられるのか

ここを正確に理解してください。

共済金の借入れは、取引先が倒産したときに使えます。

自社の資金繰りが苦しいというだけでは、共済金の借入れはできません。

つまりこの制度は、「いま足りない」を解決するものではなく、「取引先が倒れたときに巻き込まれない」ための備えです。

何を「倒産」と扱うか

倒産の事由は制度上定められています。加入を検討する段階で、どのような場合が対象になるかを必ず確認してください。

取引先が支払いを渋っているだけでは、対象になりません。

取引先が倒産したときの対処を読む

費用:限度額の計算方法

共済金の貸付額の上限は、次の2つのうち少ないほうです。

  1. 回収困難となった売掛金債権等の額
  2. 納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)

具体的に考えてみます。

掛金月額積立期間掛金総額借入限度額
5万円1年60万円600万円
5万円3年180万円1,800万円
20万円3年720万円7,200万円

掛金を積んでいる期間が短いと、上限も小さくなります。

備えとして早く始めるほど、いざというときに使える額が大きくなります。

条件:加入を検討すべき事業者

次に当てはまる場合、検討する価値があります。

  • 特定の取引先への依存度が高い——その1社が倒れると連鎖する
  • 売掛金の額が大きい——回収不能になったときの打撃が大きい
  • 支払サイトが長い——回収までの期間、リスクを抱え続ける
  • 利益が出ている——掛金を損金に算入できる効果がある

逆に、現金商売で売掛金がほとんどない場合、この制度の必要性は下がります。

掛金を積んだ期間の長さが、そのまま限度額になります。

注意点:知っておくべき2つのこと

加入を勧めるだけの説明では不十分です。2つの注意点をお伝えします。

1. 令和6年10月1日以降の再加入

令和6年10月1日以降の再加入の場合、掛金の扱いが異なる旨が案内されています。

解約して再加入するという使い方を考えている場合、必ず現在の条件を中小企業基盤整備機構の資料で確認してください。

2. 借入れには相応の負担があります

共済金の借入れを受けると、借入額に応じて掛金の権利に影響が生じる仕組みになっています。

つまり「無利子で借りられる」という説明だけを見て判断しないでください。

加入前に、制度の資料を最後まで読むことをおすすめします。

手順:いま資金が必要な方へ

正直に申し上げます。

この制度は、いまの資金不足には使えません。加入してすぐ借りられるものではなく、取引先の倒産という事由も必要だからです。

いま足りないのであれば、別の手段になります。

費用の安い順に当たる

  1. 支払条件の交渉——費用ゼロ

リスケ・支払条件の交渉の進め方を読む

  1. 公的融資——年1〜3%程度

公的融資とは(公庫・制度融資・マル経)

  1. 売掛金の資金化——間に合わないときの手段

これは借入ではなく、審査で主に見られるのは取引先の支払い能力です。

手数料の相場と年利換算を読む

そのうえで、今回を乗り切ったら共済への加入を検討してください。同じことが起きたときの備えになります。

手順:加入するときに決めること

加入すると決めたら、次の3つを決めます。

1. 掛金の月額

5,000円から20万円まで、自由に選べます。

判断の目安は、いちばん大きな取引先への売掛金がいくらかです。

その額を10で割ると、必要な掛金総額が出ます。その総額に届くまでの期間を、月額から逆算してください。

たとえば売掛金が3,000万円なら、掛金総額300万円が目標です。月10万円なら30か月、月20万円なら15か月で届きます。

2. 支払いの方法

掛金は増額も減額もできます。

利益が出た年に増額し、苦しい年に減らすという使い方ができます。ただし減額には条件があるため、加入前に確認してください。

3. 顧問税理士への相談

掛金の税務上の扱いは、加入の時期や過去の加入歴によって変わります。

令和6年10月1日以降の再加入では扱いが異なる旨が案内されています。自社がどう扱われるかは、必ず税理士に確認してください。

比較:他の備えとの違い

取引先の倒産に備える方法は、共済だけではありません。

方法費用効果
経営セーフティ共済掛金(損金算入可)倒産時に無担保で借りられる
取引信用保険保険料回収不能額の一部が填補される
取引先の分散ゼロ1社が倒れても致命傷にならない
与信管理手間危ない相手と取引しない

いちばん確実なのは、いちばん下の2つです。

特定の1社に売上の大半を頼っている状態は、どんな備えよりも危険です。

条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。

今日やる一歩

このページを閉じたら、最初にやることを1つだけ決めましょう。

  • いまは資金に余裕がある——中小機構の資料を読み、掛金の額を決める
  • 取引先が倒産した——加入していれば、その日のうちに中小機構へ連絡する
  • いま資金が足りない——公庫に電話する。共済ではなく融資の相談です

備えは、余裕があるうちにしかできません。

資金調達の手段を一覧で見る

参考にした公的資料

このページは、公的制度と資金調達の判断材料をお伝えするものです。特定のサービスの利用を勧めるものではありません。共済の要件や税務上の扱いは改正されることがあります。加入の前に、中小企業基盤整備機構の資料と顧問税理士にご確認ください。

よくある質問

経営セーフティ共済とは何ですか?

取引先が倒産したときに、無担保・無保証人で共済金を借りられる制度です。中小企業基盤整備機構が運営しています。掛金月額は5,000円から20万円まで自由に選べ、増額・減額もできます。借入れは掛金の最高10倍、上限8,000万円までです。

いくらまで借りられますか?

共済金の貸付額の上限は、回収困難となった売掛金債権等の額か、納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)の、いずれか少ないほうの金額です。つまり掛金を積んでいる期間が短いと、上限も小さくなります。備えとして早めに始める意味はここにあります。

掛金は経費になりますか?

掛金を損金(法人の場合)または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。ただし令和6年10月1日以降の再加入の場合は異なる扱いとなる旨が案内されています。詳しい条件は中小企業基盤整備機構の資料でご確認ください。

取引先が倒産していなくても使えますか?

共済金の借入れは、取引先の倒産という事由が前提です。倒産していない状況で資金が必要な場合は、公的融資や売掛金の資金化など別の手段を検討することになります。ただし共済には一時貸付金という仕組みもあるため、加入者は問い合わせる価値があります。

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