社会保険料の猶予|申請書と提出先
更新日: 2026-08-28
この記事でわかること
- 厚生年金保険料等で利用できる二つの猶予について、対象となる事情の違いを整理します
- 換価の猶予は対象となる保険料等の納期限から6カ月以内に申請する決まりを確認できます
- 猶予を受けたい保険料額が100万円を超えるかで変わる申請書類の使い分けを確認できます
- 猶予申請の相談先と、口座振替申出書を郵送または提出する二つの窓口を事前に確認できます
- 国税などで猶予申請済みの場合に、一部の記載や書類添付を省略できる扱いが分かります
目次
まず結論:納期限から6カ月以内に、年金事務所へ申請します
厚生年金保険料等を一時に納めることが難しいときは、放置せずに動くことが大切です。事業主が申請し、一定の要件を満たせば、二つの猶予を受けられます。
中心となる選択肢は、換価の猶予と納付の猶予です。換価の猶予では、認められた保険料等を猶予期間内に分割納付できます。納付の猶予では、一定の期間、保険料等の納付そのものが猶予されます。
換価の猶予を申請できるのは、猶予を受けたい保険料等の納期限から6カ月以内です。この期限を確認し、管轄の年金事務所へ早めに相談してください。相談時には、どの猶予に当たるかも確認します。
猶予を受けないまま納付期限を過ぎると、督促状が送付されることがあります。さらに指定期限を過ぎれば、延滞金が発生することがあるため注意が必要です。
種類:換価の猶予と納付の猶予は、きっかけが違います
二つの猶予は、納付が難しくなった事情で分けて考え、事業の状況を確認して、該当する制度を取り違えないようにします。
換価の猶予は、一時に納付すると事業の継続や生活の維持が難しくなるおそれがある場合の制度です。加えて、納付に対する誠実な意思が認められる必要があります。認められれば、保険料等を猶予期間内に分けて納められます。
一方の納付の猶予は、災害等により事業所の財産に相当な損害を受けた場合などが対象です。そのために厚生年金保険料等の納付が困難となったとき、一定期間の猶予を受けられます。
つまり、日々の納付負担を一時に負うことが難しい場合と、災害等による相当な損害がある場合では入口が異なり、申請前に納付困難となった事情を整理します。
条件:換価の猶予に当たるのはどんな場合か
換価の猶予では、まず一時納付が事業や生活へ及ぼす影響を確認します。要件は、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあることです。
それだけではありません。保険料等の納付に対する誠実な意思があると認められることも必要です。二つの点を分けずに確認してください。
申請する時点では、どの保険料等について猶予を求めるかを明確にします。そのうえで、対象の納期限から6カ月以内かを確かめます。期限は申請の出発点です。
認められた後は、納付すべき厚生年金保険料等を一定の猶予期間内に分割して納められます。一度に納めることが難しい事情と、納付する意思の双方が制度の軸です。
納付の猶予については、同じ条件で判断しません。こちらは、災害等で事業所の財産に相当な損害を受けた場合などが入口です。本文で申請期限を一律には示しません。
手順:出す書類は4つ。100万円で1つ入れ替わります
換価の猶予で使う様式は、日本年金機構がExcelとPDFの両方で公開しています。書類名を先に確認し、該当する様式を選びます。
一つ目は、換価の猶予申請書です。二つ目と三つ目は、猶予を受けたい保険料額に応じて使い分けます。四つ目として担保提供書があります。
金額が100万円を超える場合は、財産目録及び収支の明細書を使います。100万円以下の場合は、財産収支状況書を使います。100万円は、この二種類を選ぶ分かれ目です。
整理すると、確認する様式は次の四つです。
- 換価の猶予申請書
- 財産目録及び収支の明細書(100万円を超える場合)
- 財産収支状況書(100万円以下の場合)
- 担保提供書
記載方法は、厚生労働省のYouTubeチャンネルで公開され、財産収支状況書、財産目録、収支の明細書について確認できます。
手順:提出先は事務センターか年金事務所です
猶予について迷ったら、管轄の年金事務所へ早めに相談します。国税等の申請書の写しを使う場合は、年金事務所の徴収担当が詳しい相談先として案内されています。
健康保険と厚生年金保険の保険料は、日本年金機構の年金事務所が徴収します。事業主は被保険者負担分を給料や賞与から差し引きます。そして、事業主負担分とあわせて期限までに納付します。
納付方法には、口座振替、金融機関の窓口、電子納付のPay-easyなどがあります。口座振替を選ぶ場合は、申出書の提出先を確認してください。
口座振替の申出書は、所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所へ郵送できます。年金事務所の窓口への提出も可能です。猶予の相談先と口座振替申出書の提出先は、手続きごとに整理します。
費用:猶予が認められると延滞金が軽くなります
換価の猶予が認められると、猶予期間の延滞金の一部が免除されます。納付額を分けられることに加え、延滞金にも扱いがあります。
納付の猶予では、猶予期間の延滞金の全部または一部が免除され、どちらも申請して要件を満たし、認められることが前提です。
未納のまま期限を過ぎた場合の流れとは分けて考えます。猶予を受けなければ、督促状の送付後、指定期限を過ぎると延滞金が発生することがあるからです。
保険料等の納付が難しいと分かった時点で早めに年金事務所へ相談し、期限の確認と申請準備を進めます。
注意点:国税の猶予を申請済みなら、書類を省ける場合があります
すでに国税、地方税、労働保険料等の猶予を申請している場合は、その書類を確認します。申請書や財産収支状況書の写しを添付すると、一部の記載や書類添付を省略できる場合があります。
省略できる内容の詳細は、手元の写しを用意して管轄の年金事務所の徴収担当へ相談し、必要な書類を確認します。
国税にも換価の猶予があります。国税を一時に納付すると事業継続や生活維持が難しくなるおそれがあるときは、納期限から6か月以内に所轄の税務署長へ申請します。認められると、猶予期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。
ただし、国税と厚生年金保険料等では窓口が別です。国税は税務署、保険料等は年金事務所へ確認します。使う様式も別なので、申請先に合うものを選びます。
時間:保険料の納付期限は翌月末日です
健康保険と厚生年金保険の保険料は、毎月の納付期限を基準に管理します。納付対象月の翌月末日が期限です。たとえば、4月分は5月末日までに納めます。
末日が休日なら、期限は翌日以降の最初の営業日なので、暦を見て実際の日付を確認してください。
保険料額は、事業主が提出した届出内容を基に知らされます。日本年金機構から事業所へ送られる時期は、毎月20日頃です。
送付されるのは、保険料納入告知書です。または、保険料納入告知額・領収済額通知書です。届いた書類で金額を確認し、納付対象月と期限を対応させます。
換価の猶予を考える場合は、ここで確認した納期限が申請期限の基準になるため、その納期限から6カ月以内という線を見落とさないでください。
今日やる一歩
まず、納付が難しい厚生年金保険料等の納期限を確認します。換価の猶予なら、申請できるのはその日から6カ月以内です。
次に、猶予を受けたい保険料額が100万円を超えるか、100万円以下かを確かめ、超える場合は財産目録及び収支の明細書、以下なら財産収支状況書を選びます。
国税等の猶予を申請済みなら、申請書や財産収支状況書の写しを手元に用意します。一部を省略できるかは、年金事務所の徴収担当に確認してください。
最後に管轄の年金事務所へ早めに相談し、換価の猶予と納付の猶予のどちらに当たるかを確認して、必要な申請様式をそろえます。
参考にした公的資料
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)」
- 日本年金機構「ケース6:健康保険料・厚生年金保険料の換価の猶予を受けたいとき」
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」
- 国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」
- 国税庁「No.9206 国税を期限内に納付できないとき」
このページは資金調達の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。制度や条件は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず各機関・各社の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
厚生年金保険料等の換価の猶予は、いつまでに申請しますか?
猶予を受けようとする保険料等の納期限から6カ月以内に申請します。
猶予を受けたい保険料額が100万円を超える場合の書類は何ですか?
換価の猶予申請書に加え、財産目録及び収支の明細書などを使用します。
換価の猶予が認められると、どのように納付しますか?
納付すべき厚生年金保険料等を、猶予期間内に分割して納付できます。
国税などの猶予申請書の写しは利用できますか?
写しを添付すると、一部の記載や書類の添付を省略できる場合があります。