開業資金はいくら必要か|平均と中央値

更新日: 2026-08-28

この記事でわかること

  • 開業費用は平均975万円、中央値600万円で、二つの数字に375万円もの差があると分かります
  • 500万円未満の二つの価格帯だけで、開業企業の4割以上を占める費用分布が分かります
  • 資金調達額は平均1,219万円で、借り入れと自己資金が全体の90.7%を占めます
  • 公庫の開業向け融資について、対象者、資金使途、融資限度額、返済期間を確認できます
  • 調査対象が公庫から融資を受けた企業に限られる点と、数字を読む際の注意点を整理します
目次

まず結論:平均は975万円、中央値は600万円です

開業資金を考えるときは、最初に平均975万円中央値600万円を分けて見ましょう。これは、日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査」が示した開業費用です。

二つの数字には、375万円の差があります。したがって、平均だけを自分の必要額に当てはめるのではなく、中央値と費用分布も一緒に確認することが大切です。 結論は単純です。

全員に共通する一つの必要額は、この調査からは決められません。一方で、回答企業の中心に近い数字を知る手がかりとして、中央値600万円を使えます。 さらに、500万円未満で開業した企業が4割以上あります。平均975万円より低い費用で始めた企業も、調査対象に多く含まれているわけです。

最初に見る数字金額・割合読み取れること
開業費用の平均値975万円回答企業の費用を平均した数字
開業費用の中央値600万円金額順に見たときの中央の数字
500万円未満4割以上二つの価格帯が占める範囲

「開業資金はいくらか」への答えは、まずこの三つを並べるところから始まります。そのうえで、自分が必要とする設備資金と運転資金を分けて考えます。

仕組み:平均と中央値が375万円もずれています

平均値は、回答された開業費用をならして見た数字です。対して中央値は、費用を金額順に並べたときに中央となる数字です。 今回の結果では、平均975万円が中央値600万円を上回りました。その差が375万円です。

この差がある以上、平均975万円だけを「標準の開業費用」として扱うのは避けたいところです。中央値600万円と、次の節で見る費用帯の割合を重ねると、回答企業の分布をつかみやすくなります。

見る順番は、次の三つです。

  1. 平均975万円で全体の水準を見る
  2. 中央値600万円で中央の位置を見る
  3. 費用帯ごとの割合で広がりを見る

平均と中央値のどちらか一方を選ぶ必要はありません。二つは同じ問いに別の角度から答える数字だからです。 自分の計画を照らすときも同様です。平均との差だけで多い、少ないと決めず、自分の支出項目を積み上げた金額と比べましょう。

ここで使っている数値は、日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査」によるものです。調査の対象範囲は、後の注意点で詳しく確認します。

費用:4割以上が500万円未満で開業しています

費用分布では、「250万円未満」20.1%です。さらに、「250万〜500万円未満」21.7%となっています。 この二つだけで、全体の4割以上を占めます。500万円未満の開業が少数とはいえないことを、分布から確認できます。

平均だけを見ると、実際の相場より高い金額を身構えることになります。

平均975万円を見て、その金額を最初から用意すべきだと考える必要はありません。同時に、500万円未満なら十分だと決める根拠にもなりません。 この分布が示すのは、調査対象の企業が同じ金額で開業したわけではない、ということです。20.1%21.7%を、自分の予算を考える際の位置確認に使いましょう。

開業費用の区分割合
250万円未満20.1%
250万〜500万円未満21.7%

自分の必要額は、支出を一つずつ書き出して決めます。

表の割合は、その合計額が調査結果のどの範囲に近いかを見るための数字です。

比較:開業費用は長期的に少額化しています

開業費用は、長期的にみると少額化の傾向にあります。これは、日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査」に示された比較です。 高い費用帯にも変化があります。「1,000万〜2,000万円未満」「2,000万円以上」の割合は、長期的にみると低下傾向です。

ここで読めるのは、長期的な方向です。すべての開業が年々必ず安くなる、という意味ではありません。 2025年度の平均値は975万円で、中央値は600万円でした。そして、500万円未満の二つの価格帯が4割以上を占めています。

これらを合わせると、現在の計画を過去の大きな費用感だけで固めないことが重要です。現在の支出項目を基に必要額を組み直すことが、数字の実用的な読み方です。 ただし、少額化の傾向だけを理由に予算を削るのも適切ではありません。調査結果は方向を示しますが、個別の計画に必要な金額までは示していないからです。

手順:資金調達額は平均1,219万円。内訳を見ます

開業時の資金調達額は、平均1,219万円です。これも、日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査」の結果です。 最大の調達先は、金融機関等からの借り入れでした。金額は平均827万円で、平均調達額の67.9%を占めます。

次が自己資金です。

金額は平均279万円で、平均調達額に占める割合は22.9%でした。

調達額のおよそ7割は、金融機関等からの借り入れが占めています。

借り入れと自己資金を合わせると、全体の90.7%です。開業時の資金調達を考えるうえで、この二つが大きな位置を占めた実績を確認できます。

資金調達の項目平均額平均調達額に占める割合
金融機関等からの借り入れ827万円67.9%
自己資金279万円22.9%
両者の合計割合90.7%

「金融機関等からの借り入れ」には、複数の調達先が含まれます。日本政策金融公庫、民間金融機関、地方自治体、公庫・地方自治体以外の公的機関です。 地方自治体については、制度融資が該当します。ここでの827万円を、日本政策金融公庫だけから借りた平均額と読み違えないようにしましょう。

また、自己資金22.9%は、調査対象企業の平均調達額に占める実績割合です。必要な自己資金の審査目安を示す数字ではありません。 資金調達の検討では、まず必要額を設備資金と運転資金に分けます。次に、自分で用意する額と、借り入れを検討する額を切り分けてください。

開業時に苦労したことでは、「資金繰り、資金調達」56.9%が最も高い結果でした。次いで、顧客・販路の開拓49.9%、財務・税務・法務に関する知識の不足36.4%です。 この設問は、三つまでの複数回答です。開業時の資金計画は、回答企業の半数を超える人が挙げた課題だと分かります。

現在苦労していることは、顧客・販路の開拓48.8%が最も高い項目です。次が資金繰り、資金調達36.2%で、開業時より割合は低下しています。

日本政策金融公庫に断られたら(別ルート4つと再申請の手順)

条件:公庫の開業向け融資は誰が使えるか

日本政策金融公庫には、「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。利用できるのは、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。 資金の使いみちも示されています。新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要となる設備資金および運転資金です。

融資限度額は、7,200万円です。限度額は、希望した金額がそのまま融資されることを示すものではありません。 公庫の案内には、審査の結果、希望に沿えないことがあると明記されています。担保と保証人は、希望を伺いながら相談のうえ決めるとされています。

利率は基準利率です。ただし、女性の方、35歳未満または55歳以上の方などが必要とする資金には、特別利率が示されています。 この特別利率は、原則として土地にかかる資金を除きます。また、使いみち、返済期間、担保の有無などにより、適用される利率は異なります。

具体的な利率の数字は、本記事では示しません。

手続き前に、日本政策金融公庫の公式案内で条件を確認してください。

創業1年未満で資金が尽きそうなとき(決算書なしの手)

注意点:この数値は「融資を受けて開業した企業」の姿です

最も大切な前提があります。この調査の対象は、日本政策金融公庫国民生活事業から融資を受けて開業した企業です。 したがって、自己資金だけで始めた開業や、融資を受けなかった開業は含まれません。平均975万円や中央値600万円を読むときは、この対象範囲を必ず踏まえてください。

調査対象は、2024年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の8,517社です。不動産賃貸業は除かれています。 調査時点は2025年8月です。調査票の送付と回収はともに郵送で、アンケートは無記名でした。

回収数は2,165社で、回収率25.4%です。開業時の経営形態は、個人企業57.0%、法人企業43.0%でした。

調査の確認項目内容
実施主体日本政策金融公庫総合研究所
発表日2025年12月5日
調査時点2025年8月
調査対象数8,517社
回収数・回収率2,165社・25.4%

日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査」は、2025年12月5日に発表されました。新規開業実態調査は、1991年度から毎年行われています。 調査対象の範囲と回収状況を確認すれば、数字を自分の計画に当てはめすぎることを避けられます。これは、すべての開業者を網羅した数字ではありません。

開業時の平均従業者数は、経営者本人を含めて2.8人でした。3年連続で3人を下回っています。 この規模も、調査対象企業の姿を理解する情報です。自分の開業と比べるときは、費用だけでなく対象や規模も一緒に見ましょう。

時間:返済期間は設備資金20年、運転資金10年です

「新規開業・スタートアップ支援資金」の返済期間は、資金の使いみちで分かれます。設備資金は20年以内で、うち据置期間は5年以内です。 運転資金は10年以内です。こちらも、うち据置期間は5年以内と案内されています。

資金の区分返済期間うち据置期間
設備資金20年以内5年以内
運転資金10年以内5年以内

設備資金と運転資金では、最長の返済期間が異なります。必要額を書き出す段階から、二つを同じ欄にまとめないようにしましょう。 返済期間は、希望だけで決まるとは案内されていません。使いみち、返済期間、担保の有無などにより、異なる利率が適用されます。

審査の結果によっては、希望に沿えないこともあります。

限度額7,200万円や最長の返済期間を、そのまま自分の条件だと考えないことが重要です。

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今日やる一歩

まず、紙や表計算に「設備資金」「運転資金」の二つの欄を作りましょう。必要な支出をそれぞれの欄へ書き、合計します。 次に、用意できる自己資金を書きます。そのうえで、必要額との差を確認してください。

比較に使う数字は、次のとおりです。

  • 開業費用の平均975万円
  • 開業費用の中央値600万円
  • 250万円未満の割合20.1%
  • 250万〜500万円未満の割合21.7%
  • 資金調達額の平均1,219万円

これらは目標額ではありません。自分で積み上げた必要額が、調査結果のどこに位置するかを確かめる比較値です。 借り入れを検討するなら、新規開業・スタートアップ支援資金の対象者と資金使途を公式ページで確認します。対象は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。

最後に、調査対象の違いをメモしておきましょう。今回の数字は、公庫国民生活事業から融資を受けた企業の回答に基づきます。 今日決めるのは、平均に合わせた金額ではありません。自分の設備資金、運転資金、自己資金を分けた一覧を完成させることです。

参考にした公的資料

このページは資金調達の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。制度や条件は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず各機関・各社の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

開業費用の平均と中央値はいくらですか?

日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査」では、平均975万円、中央値600万円です。

500万円未満で開業した企業はどのくらいですか?

250万円未満が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、二つを合わせて4割以上です。

開業時の自己資金はいくらですか?

開業時の自己資金は平均279万円で、平均調達額に占める割合は22.9%です。

新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額はいくらですか?

融資限度額は7,200万円です。

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