開業資金の融資|公庫と保証協会の2ルート

更新日: 2026-08-29

この記事でわかること

  • 開業前に検討できる公的なルートは、公庫の融資と信用保証協会の保証制度
  • 公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、融資限度額7,200万円
  • 設備資金は20年以内、運転資金は10年以内が返済期間の基準
  • 創業融資は原則として無担保・無保証人で、金利引下げの案内がある
  • 信用保証協会の3制度を併用しても、保証限度額の合計は3,500万円
目次

開業資金の融資を探すときは、制度名より先に申込先の違いを押さえると整理しやすくなります。公的な選択肢として確認したいのは、日本政策金融公庫と信用保証協会です。この2つは、対象となる時期や金額の示し方が同じではありません。公庫は融資、信用保証協会は保証制度として公式ページを読み分けます。

まず結論:開業前に使える公的なルートは2つあります

最初のルートは、日本政策金融公庫の創業融資です。「創業融資のご案内」は、新たに事業を始める方を対象に含めています。もう一つは、信用保証協会の保証制度を検討するルートです。全国信用保証協会連合会は、創業関連保証などを案内しています。

公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、融資限度額7,200万円です。信用保証協会の3制度は、合計の保証限度額が3,500万円とされています。ここでの要点は、同じ「開業資金」でも申込先が違うことです。入口を分ければ、限度額や返済期間を取り違えにくくなります。

仕組み:公庫の創業融資は「税務申告2期未了」までが窓口です

日本政策金融公庫の「創業融資のご案内」では、対象が明確に示されています。対象は、新たに事業を始める方、または税務申告を2期終えていない方です。同じページには、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できるとあります。この表現には「原則として」が付いています。

一方、「新規開業・スタートアップ支援資金」の利用対象は、もう少し広い期間です。新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方とされています。つまり、2つのページは同じ期間を示しているわけではありません。税務申告2期未了は創業融資の案内、おおむね7年以内は個別資金の案内です。

担保や保証人についても、ページごとに表現が異なります。創業融資の案内は原則無担保・無保証人ですが、個別資金のページは希望を伺いながら相談するとしています。

公庫と信用保証協会では、申し込む窓口も、審査で見る相手も異なります。

条件:新規開業・スタートアップ支援資金の中身

利用できる方は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。資金の使いみちは、事業を始めるために必要な資金だけではありません。事業開始後に必要とする設備資金および運転資金も含まれます。

融資限度額は7,200万円です。返済期間は、資金の種類によって分かれます。設備資金は20年以内で、うち据置期間は5年以内です。

運転資金は10年以内で、うち据置期間は5年以内です。設備と運転では返済期間が異なりますが、示された据置期間はいずれも5年以内です。利率は基準利率とされています。ただし、一定の要件に該当する方が必要とする資金には、特別利率が案内されています。

担保・保証人の欄には、希望を伺いながら相談する旨が記載されています。ここは「不要」と置き換えず、相談する扱いとして読みます。また、このページには、自己資金の要件について記載がありません。自己資金が不要とは断定できません

確認項目をまとめると、次のとおりです。

確認項目公庫ページの記載
利用できる方新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
資金の使いみち設備資金および運転資金
融資限度額7,200万円
設備資金の返済期間20年以内、うち据置期間5年以内
運転資金の返済期間10年以内、うち据置期間5年以内
担保・保証人希望を伺いながら相談
自己資金の要件このページには記載がない

開業資金はいくら必要か(平均975万円・中央値600万円)

比較:公庫と信用保証協会は、申し込む先が違います

公庫では融資制度を確認します。信用保証協会では、全国信用保証協会連合会が案内する保証制度の対象を確認します。創業関連保証の限度額は、3,500万円です。対象の例には、個人で1か月以内に事業を開始する具体的な計画がある場合が挙げられています。

個人で法人を設立する場合の例も示されています。具体的な計画があり、2か月以内に法人を設立して事業を開始する場合です。すでに始めている場合は、事業開始から5年未満が対象例です。法人については、設立から5年未満という例が示されています。

特定創業支援等事業を受けた場合は、開始までの期間が緩和されます。「1か月以内」と「2か月以内」が、いずれも6月以内になります。

比較する点日本政策金融公庫信用保証協会の創業関連保証
制度の位置づけ融資保証制度
示された限度額7,200万円3,500万円
開業後の対象期間おおむね7年以内事業開始または設立から5年未満の例

費用:金利は引下げの対象になります

公庫の「創業融資のご案内」には、金利の引下げが示されています。原則として0.65%引下げです。雇用の拡大を図る場合は、0.9%引下げと記載されています。どちらも、創業融資の案内ページに示された数字です。

一方、新規開業・スタートアップ支援資金のページは、利率を基準利率としています。一定の要件に該当する方が必要とする資金は、特別利率の対象です。実際の利率は、日本政策金融公庫の「金利情報」で公表されています。金利は変動するため、この記事では具体的な利率を固定して書きません。

確認時は、現在公表されている利率と、引下げの案内を分けて読みます。0.65%や0.9%は引下げ幅として掲載されている数字です。信用保証協会の制度では、スタートアップ創出促進保証制度に費用の記載があります。保証料率に0.2%を上乗せすることで、経営者の連帯保証が不要になります。

公庫は創業計画書などの書式を、ウェブサイトで公開しています。

手順:計画書を先に用意してから窓口に行きます

日本政策金融公庫は、創業計画書などの書式をウェブサイトで公開しています。まずは公開されている書式を確認しましょう。次に、資金の使いみちを設備資金と運転資金に分けます。両者は返済期間が異なるため、混ぜずに確認するのが要点です。

そのうえで、次の順に公式情報を確かめます。

  1. 公庫が公開している創業計画書などの書式を確認する
  2. 創業融資と新規開業・スタートアップ支援資金の対象を照合する
  3. 設備資金と運転資金を分け、該当する返済期間を確認する
  4. 公庫の金利情報で、公表されている利率を確認する
  5. 担保・保証人は、個別資金のページにある相談の扱いを確認する

自己資金については、記載の範囲を越えて結論を出さないことも準備の一部です。新規開業・スタートアップ支援資金のページには、自己資金要件の記載がありません

信用保証協会とは(担保も実績もない会社が借りる仕組み)

注意点:3制度を併用しても合計3,500万円が上限です

全国信用保証協会連合会のページには、創業関連保証のほかにも制度が載っています。再挑戦支援保証の限度額は3,500万円です。また、スタートアップ創出促進保証制度も案内されています。この制度は、保証料率への0.2%上乗せにより、経営者の連帯保証が不要になります。

ここで注意したいのが、制度を併用した場合の限度額です。創業関連保証、再挑戦支援保証、スタートアップ創出促進保証の3つが対象です。3制度を併用しても、合計の保証限度額は3,500万円です。それぞれの限度額を足して、合計枠が増えるとは読めません。

制度名が複数あると、枠も別々だと考えやすくなります。しかし公式ページは、3制度を併用しても合計3,500万円と明記しています。

すでに事業を始めていて、売掛金の入金待ちで資金が足りない場合には、次の方法もあります。

今日やる一歩

まず、開業前か開業後かを書き出します。開業後なら、税務申告2期未了おおむね7年以内のどちらに当たるかを確認します。次に、必要な資金を設備資金と運転資金に分けます。返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。

信用保証協会のルートも見るなら、創業関連保証の対象例と照合します。特定創業支援等事業を受けた場合は、開業前の期間が6月以内に緩和されます。最後に、公庫が公開する創業計画書などの書式を開きます。利率は金利情報のページで、その時点で公表されている内容を確認してください。

参考にした公的資料

本記事は公的機関が公表している情報をもとにした一般的な解説であり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。

よくある質問

開業前でも日本政策金融公庫の融資を利用できますか?

新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方も利用対象として案内されています。

新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額はいくらですか?

融資限度額は7,200万円です。資金の使いみちは、設備資金および運転資金とされています。

創業融資に自己資金の要件はありますか?

新規開業・スタートアップ支援資金のページには、自己資金の要件について記載がありません。自己資金が不要という意味ではありません。

信用保証協会の保証制度を併用すると限度額は増えますか?

創業関連保証、再挑戦支援保証、スタートアップ創出促進保証を併用しても、合計の保証限度額は3,500万円です。

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