ファクタリングが通らないときの見直し方

更新日: 2026-08-10

この記事でわかること

  • 審査で見られるのは自社の決算ではなく取引先の支払い能力であること
  • 通らない理由は債権の性質・取引先・自社の事情の3つに分かれること
  • 同じ請求書でも会社によって扱える条件が違うこと
  • 次に申し込むときに変えるべき点
  • それでも通らないときに使える公的な手段
目次

申し込んだのに、通らなかった。

会社の信用を否定された気がして、次の一歩が出なくなる方が多いはずです。

ですが、その受け取り方は正確ではありません。

このページでは、審査で実際に何が見られているかを整理し、次に何を変えれば結果が変わるのかをお伝えします。

まず結論:見られているのは自社ではなく請求書です

ファクタリングは借入ではなく、債権の売買です。

融資であれば、返せるかどうかを見るために自社の決算や信用情報が中心になります。しかし売買では、買う側が知りたいのは「その請求書は本当に支払われるのか」です。

つまり見られているのは、自社ではなく取引先です。

融資ファクタリング
性質借入債権の売買
主に見るもの自社の返済能力取引先の支払い能力
判断の単位会社全体請求書1枚ごと
返す義務ある原則としてない

いちばん下の行が重要です。

判断は請求書ごとに行われます。会社全体に×がついたわけではありません。

だから、別の請求書を出せば結果が変わることがあります。同じ請求書でも、出す先を変えれば通ることがあります。

仕組み:ファクタリングの審査で実際に見られるもの

見られている項目を具体的に挙げます。

取引先が誰か

これが最大の要素です。支払われないリスクが小さい相手ほど、条件はよくなります。

とくに次のような相手は、リスクが小さいと判断されやすい構造です。

  • 上場企業・大手企業
  • 官公庁・自治体
  • 国民健康保険団体連合会(国保連)
  • 社会保険診療報酬支払基金

介護・医療・障害福祉の事業者が有利になりやすいのは、この理由によります。

入金までの残り日数

期日が近いほど、資金化する会社が負うリスクの期間は短くなります。

同じ取引先の請求書でも、入金まで7日のものと60日のものでは扱いが変わります。

手元に複数の請求書があるなら、期日がいちばん近いものから出してください。

取引の実績

過去に同じ取引先から入金を受けた履歴があるか。通帳で裏づけられるかどうかが見られます。

初めて取引する相手への請求書は、実績で裏づけられないぶん通りにくくなります。

見られているのは自社の決算ではなく、請求書の中身です。

種類:通らない理由は3つに分かれます

自分がどれに当たるかで、次にやることが変わります。

理由何が起きているか次にやること
① 債権の性質金額・業種・債権の種類がその会社の取扱範囲外申込先を変える
② 取引先・期日支払い能力が読めない/期日が遠い別の請求書を出す
③ 自社の事情書類の不備、説明の不足整えて出し直す

① 債権の性質が合っていない

これがいちばん多く、そしていちばん誤解されやすい理由です。

会社ごとに、扱える下限額と上限額が決まっています。業種を限っている会社もあります。

30万円の請求書が「小さすぎて対象外」だっただけ、ということが実際にあります。

これは請求書の良し悪しとは関係ありません。単に商品設計が合っていないだけです。

② 取引先や期日の条件が合っていない

取引先の支払い能力が読めない場合です。設立から日が浅い、支払いの実績がない、といった事情があります。

この場合、同じ会社に別の請求書を出せば通ることがあります。

③ 自社側の説明と請求書が結びついていない

請求書は出したが、それを裏づける通帳の入金履歴が示せない。あるいは書類の記載に不備がある。

これは整えれば解決します。

必要な書類をそろえる手順を読む

比較:同じ請求書でも会社によって結果が変わります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

会社によって「扱えるもの」が違います。

会社の型得意な領域合わないもの
少額特化数万円〜数十万円数千万円の大口
総合型数十万円〜数千万円1万円台の少額
業種特化建設・医療・介護など対象外の業種
オンライン特化書類が少ない案件複雑な債権

1社で断られたことは、「この請求書は資金化できない」という意味ではありません。

金額帯が合う会社に出し直すだけで通ることがあります。

断られたときに聞くこと

次の一手を決めるために、理由を1つだけ聞いてください。

今回お取り扱いいただけなかった理由について、差し支えのない範囲で教えていただけますでしょうか。金額や債権の種類など、条件面での理由でしたら、次の参考にいたします。

「金額が小さかった」と言われれば、少額特化の会社に出せばよいと分かります。

理由を聞かずに終わるのが、いちばんもったいない終わり方です。

ファクタリング会社の選び方を読む

同じ請求書でも、出す先によって結果が変わります。

手順:次に申し込むときに変えること

順番に確認してください。

1. 出す請求書を選び直す

手元の請求書を並べて、次の順で選びます。

  1. 取引先が上場企業・官公庁・公的機関のもの
  2. 入金までの日数がいちばん短いもの
  3. その取引先からの入金履歴が通帳にあるもの

3つとも満たす請求書があれば、それを出してください。

2. 金額帯の合う会社を選ぶ

前回断られた理由が金額なら、そこを変えます。数十万円なら少額を扱う会社、数百万円以上なら総合型です。

3. 複数社に同時に出す

書類は使い回せます。1社ずつ順番に出していると、断られるたびに時間を失います。

同じ書類を複数社へ送れば、条件を比べたうえで選べます。

比べるときは率ではなく、実際に振り込まれる金額で見てください。

手数料の相場と年利換算を読む

注意点:「審査なし」に流れてはいけません

断られたあとに、いちばん危ない選択がこれです。

「審査なし」「誰でもOK」をうたうものには近づかないでください。

売掛金を買い取るのであれば、その債権が実在し、支払われるかを確認するのが当然です。

確認しないということは、債権を見ていないということです。つまり買っているのではなく、貸している可能性があります。

金融庁は、ファクタリングを装った実質的な貸付について注意喚起を出しています。

契約書で見分ける

売買であれば、原則として買い戻しの義務や担保・保証人は不要です。

次の言葉が契約書にあれば、それは貸付の性質を帯びています。

  • 返済
  • 利息
  • 担保
  • 保証人

1つでもあれば、契約する前に立ち止まってください。

違法な業者の見分け方を読む

条件:それでも通らないときの代替

請求書そのものが資金化に向かない場合もあります。そのときは手段を変えます。

費用の安い順に並べると、次のとおりです。

順番手段費用の目安
1支払条件の交渉ゼロ
2小規模企業共済の一般貸付年1.5%(加入している場合)
3マル経融資年2.70%
4公庫の一般貸付年1〜3%程度

小規模企業共済に加入していませんか

加入していれば、積み立てた範囲内で年1.5%の事業資金を借りられます。

掛金は月1,000円から70,000円の範囲で、全額を所得から控除できます(出典: 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済 制度の概要」・2026年8月10日確認)。

加入していることを忘れている経営者が実際にいます。まず貸付限度額を確認してください。

小規模企業共済とはを読む

公的融資は時間があるほど有利です

日本政策金融公庫の一般貸付を使います。運転資金の融資限度額は4,800万円、返済期間は5年以内(特に必要な場合7年以内)です。

うち据置期間は1年以内です。出典は日本政策金融公庫「一般貸付」です(2026年8月10日確認)。

商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者なら、マル経融資は無担保・無保証人で年2.70%です(2026年8月3日現在・特別利率F。出典: 日本政策金融公庫「マル経融資」・2026年8月10日確認)。

手数料10%を入金まで30日の請求書に使えば、年利に直しておよそ120%相当です(目安)。

桁が違います。時間が2週間以上あるなら、まず公的融資を当たってください。

公的融資とは(公庫・制度融資・マル経)

条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。

「審査が甘い」で選んではいけない理由を読む

今日やる一歩

このページを閉じたら、最初にやることを1つだけ決めましょう。

  • 断られた理由が分からない——申し込んだ会社に電話し、条件面の理由を1つだけ聞く
  • 請求書が複数ある——取引先と期日で並べ替え、いちばん条件のよいものを出す
  • 時間が2週間以上ある——公庫か商工会議所に電話する。費用が桁違いに安く済みます

1社で断られたことは、資金化できないという意味ではありません。

ファクタリングの基本を読む

参考にした公的資料

このページは、資金調達の判断材料をお伝えするものです。特定のサービスの利用を勧めるものではありません。審査の可否は各社の基準と個別の事情によって決まります。実際のお申し込みの前に、各社の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

ファクタリングの審査では何を見られますか?

主に取引先(売掛先)の支払い能力です。ファクタリングは債権の売買であり借入ではないため、自社の決算や信用情報より、その請求書が確実に支払われるかどうかが重視されます。取引先が上場企業や官公庁の場合、条件がよくなりやすい構造です。

同じ請求書なのに会社によって結果が違うのはなぜですか?

会社によって扱える債権の下限額・上限額・業種・債権の種類が異なるためです。ある会社では金額が小さすぎて対象外でも、少額を専門にする会社なら扱えることがあります。1社で断られただけで諦める必要はありません。

「審査なし」をうたう会社に申し込んでもよいですか?

おすすめできません。売掛金を買い取るのであれば、その債権が実在し支払われるかを確認するのが当然です。確認しないということは、実質的に貸付である可能性があります。金融庁も、ファクタリングを装った実質的な貸付について注意喚起しています。

どうしても通らないときはどうすればよいですか?

公的融資を検討してください。日本政策金融公庫の一般貸付は運転資金の限度額が4,800万円、マル経融資は無担保・無保証人で年2.70%です(2026年8月3日現在・特別利率F)。小規模企業共済に加入していれば、積み立ての範囲内で年1.5%の貸付も使えます。

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