小規模企業共済とは|貸付は年1.5%、資金繰り時は0.9%

更新日: 2026-08-21

この記事でわかること

  • 経営者・個人事業主自身の退職金を積み立てる国の制度であること
  • 掛金は月1,000円から7万円まで、500円単位で選べること
  • 掛金は全額を小規模企業共済等掛金控除として所得から控除できること
  • 積み立てた範囲内で事業資金を借りられ、一般貸付は年1.5%であること
  • 資金繰りの悪化なら緊急経営安定貸付けとして年0.9%で借りられること
  • ファクタリングの手数料と比べると桁違いに安いこと
目次

経営者自身の退職金を積み立てながら、いざというとき年1.5%で借りられる。

そういう制度があることを、ご存じでしょうか。

このページでは、小規模企業共済を資金繰りの観点から整理します。

最初に制度の全体像を示します。次に貸付の仕組みを説明し、そのあと他の手段と比較します。

まず結論:3つの効果があります

小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する国の制度です。

効果内容
退職金の準備廃業・退任のときに共済金を受け取る
節税掛金は全額を所得から控除できる
資金調達積み立てた範囲内で年1.5%で借りられる

(出典: 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済 制度の概要」・2026年8月7日確認)

3つ目が、資金繰りに直結する部分です。

国の制度です。退職金の準備と資金調達を兼ねます。

仕組み:掛金と控除

掛金は月額1,000円から70,000円の範囲内で、500円単位で自由に設定できます。

掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます。

つまり月7万円なら、年間84万円を所得から差し引ける計算になります。

経費(損金)とは違います

ここは混同しやすい点です。

  • 小規模企業共済——経営者個人の所得控除
  • 経営セーフティ共済——法人の損金/個人の必要経費

2つは別の制度です。両方に加入することもできます。

経営セーフティ共済とは

費用:貸付は年1.5%です

ここが、資金繰りの観点でいちばん重要な部分です。

貸付資格を取得した後、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で、事業資金等の借入れが可能です。

事業資金の貸付である一般貸付の貸付利率は年1.5%です。

他の手段と比べてみてください

手段費用の目安
小規模企業共済の一般貸付年1.5%
公庫のマル経融資年2.70%
公庫の一般貸付年1〜3%程度
事業者ローン年5〜18%程度
売掛金の資金化1回1〜20%(年利換算では大きくなります)

いちばん上が、最も安い水準です。

しかも自分が積み立てたお金の範囲内で借りるため、審査に時間がかかりません。

資金繰りが苦しいときは、年0.9%の枠があります

ここを知らずに一般貸付を使う方が少なくありません。

貸付は一般貸付だけではなく、特別貸付けという種類があります。資金繰りの悪化で使えるのが緊急経営安定貸付けです。

経済環境の変化等に起因した一時的な売上減少により、資金繰りに著しく支障をきたしている場合に、経営の安定を図るための事業資金を低金利で借りられます。

貸付けの種類利率(年利)
一般貸付け1.5%
緊急経営安定貸付け0.9%
傷病災害時貸付け0.9%
創業転業時・新規事業展開等貸付け0.9%
事業承継貸付け0.9%
廃業準備貸付け0.9%
福祉対応貸付け0.9%

出典は中小機構「共済契約者貸付」です(2026年8月21日確認)。

売上が落ちて資金繰りが苦しいという状況は、まさに緊急経営安定貸付けが想定している場面です。

一般貸付の1.5%と比べて、ほぼ半分の利率になります。窓口で「一般貸付を」と言う前に、いまの状況で特別貸付けに当たらないかを確認してください。

手数料の相場と年利換算を読む

年1.5%は、他の手段と比べて桁が違います。

条件:いま資金が足りない場合

正直に申し上げます。

いまから加入しても、すぐには借りられません。

貸付限度額は納付した掛金から算定されるため、積み立てがない状態では借りられる額もありません。

すでに加入している方へ

まず、自分の貸付限度額を確認してください。

加入していることを忘れている経営者が、実際にいます。

年1.5%で借りられる枠があるなら、他のどの手段よりも先に使うべきです。

まだ加入していない方へ

いまの不足は、別の手段で埋めることになります。費用の安い順です。

  1. 支払条件の交渉——費用ゼロ

リスケ・支払条件の交渉の進め方を読む

  1. 公的融資——年1〜3%程度

公的融資とは(公庫・制度融資・マル経)

  1. 売掛金の資金化——間に合わないときの手段

これは借入ではなく、審査で主に見られるのは取引先の支払い能力です。

そのうえで、落ち着いたら加入を検討してください。

次に同じことが起きたとき、年1.5%という選択肢を持っているかどうかで結果が変わります。

手順:加入するときに決めること

掛金の額

月1,000円から7万円まで、500円単位です。

判断の目安は2つあります。

  1. 毎月確実に払える額か——無理な設定は続きません
  2. 所得控除の効果はどれくらいか——課税所得が大きいほど効果も大きくなります

迷ったら、少なめから始めて後で増やす形をおすすめします。

税理士への相談

所得控除の効果は、その方の所得の状況によって変わります。

いくらの掛金が最適かは、顧問税理士に試算してもらってください。

注意点:気をつけること

  • 短期で解約する——納付期間によっては受け取る額が掛金を下回ることがあります
  • 借入と誤解する——共済金は自分が積み立てたお金です。貸付も同じです
  • 掛金を払えなくなる——減額はできますが、無理のない額から始めてください

制度の詳しい要件と受け取り額の計算は、必ず中小機構の資料でご確認ください。

退職金が払えないときの対処を読む

比較:2つの共済の使い分け

中小企業向けの共済には、性質の違う2つがあります。

項目小規模企業共済経営セーフティ共済
目的経営者自身の退職金取引先の倒産に備える
掛金月1,000円〜7万円月5,000円〜20万円
税務上の扱い所得控除損金/必要経費
貸付年1.5%(一般貸付)倒産時に無担保で借入
運営中小企業基盤整備機構同左

目的がまったく違うため、両方に加入する意味があります。

資金繰りの観点では、小規模企業共済のほうが使い勝手がよい面があります。

取引先が倒産していなくても、積立の範囲内で年1.5%で借りられるからです。

経営セーフティ共済とは

手順:貸付を使うときの流れ

すでに加入している方向けです。

  1. 貸付限度額を確認する——中小機構または委託機関へ
  2. どの貸付けに当たるかを確認する——資金繰りの悪化なら緊急経営安定貸付け(年0.9%)
  3. 窓口へ行く——借入の窓口は商工組合中央金庫の本店または支店です
  4. 返済の計画を立てる——期限があります

いちばん大切なのは、1つ目です。

自分がいくらまで借りられるかを知らないまま、他の高い手段を使っている経営者が実際にいます。

手続きで押さえておく3点

担保も保証人も要りません。自分の掛金の範囲内で借りる仕組みだからです。

一方で、次の2点は先に知っておいてください。

  • 利息は前払いです——貸付時および償還時に6か月分を前払いする方式です。借りた額がそのまま手元に入るわけではありません
  • 返済が滞ると年14.6%の延滞利子がかかります。0.9%や1.5%という低さとは桁が違います

低金利だからと油断せず、返済の期日は必ず守れる金額で借りてください。

注意していただきたい点

貸付を受けると、その分だけ将来受け取る共済金に影響します。

自分の退職金を先に使う形になるという理解が必要です。

それでも年1.5%という水準は、他の手段と比べて圧倒的に有利です。

条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。

今日やる一歩

このページを閉じたら、最初にやることを1つだけ決めましょう。

  • すでに加入している——貸付限度額を確認する。年1.5%の枠が眠っているかもしれません
  • 加入していない・余裕がある——中小機構の資料を読み、掛金の額を検討する
  • いま資金が足りない——公庫に電話する。共済ではなく融資の相談です

年1.5%で借りられる枠は、持っているだけで意味があります。

資金調達の手段を一覧で見る

参考にした公的資料

このページは、公的制度と資金調達の判断材料をお伝えするものです。特定のサービスの利用を勧めるものではありません。共済の要件・利率・税務上の扱いは改正されることがあります。加入や貸付の前に、中小企業基盤整備機構の資料と顧問税理士にご確認ください。

よくある質問

小規模企業共済とはどういう制度ですか?

中小企業基盤整備機構が運営する国の制度で、小規模企業の経営者や個人事業主が自身の退職金を積み立てる仕組みです。掛金は月額1,000円から70,000円の範囲内で、500円単位で自由に設定できます。

掛金は経費になりますか?

掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます。所得控除であって経費(損金)ではない点にご注意ください。年間84万円まで所得から差し引ける計算になります。

加入していると資金を借りられますか?

借りられます。貸付資格を取得した後、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で事業資金等の借入れが可能です。一般貸付の利率は年1.5%ですが、経済環境の変化等による一時的な売上減少で資金繰りに著しく支障をきたしている場合は、緊急経営安定貸付けとして年0.9%で借りられます。担保も保証人も不要です。

資金繰りが苦しいとき、利率は下がりますか?

特別貸付けに該当すれば下がります。緊急経営安定貸付け・傷病災害時貸付け・創業転業時貸付け・事業承継貸付け・廃業準備貸付け・福祉対応貸付けは、いずれも年0.9%です。一般貸付けの1.5%と比べてほぼ半分になるため、窓口で自分の状況がどの貸付けに当たるかを確認してください。

貸付の窓口はどこですか?

借入の窓口は商工組合中央金庫の本店または支店です。担保・保証人は不要ですが、利息は貸付時および償還時に6か月分を前払いする方式です。また返済が滞ると年14.6%の延滞利子がかかります。

いま資金が足りません。加入すれば借りられますか?

すぐには借りられません。貸付限度額は納付した掛金から算定されるため、積み立てがない状態では借りられる額もありません。いまの不足は別の手段で埋め、そのうえで加入を検討してください。次に同じことが起きたときの備えになります。

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