納税の猶予の申請書|書き方と添付書類

更新日: 2026-08-24

この記事でわかること

  • 猶予の要件に当たる6つの事実と、その事実に基づいて一時に納付できない状況を順に確認します
  • 納税の猶予申請書に加え、金額に応じた財産・収支の書類と災害などの証明書類をそろえます
  • 100万円以下や3か月以内など、担保を提供しなくてよい3つの場合と必要書類を確認できます
  • 猶予は原則1年以内で、やむを得ない理由があれば最長2年以内の延長が認められることがあります
  • 申請はe-Taxのほか、税務署への持参や送付、時間外収受箱への投函でも提出できます
目次

まず結論:申請書と財産の書類をそろえれば、分割で納められます

国税を一時に納められないときは、納税の猶予申請書と、財産や収支に関する書類をそろえて税務署に出します。認められた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付することになります。一度に用意できない金額を、月ごとに割って納める形です。

要件は4つあります。猶予に当たる事実があること。その事実に基づいて一時に納付できないと認められること。申請書が提出されていること。そして、原則として担保を提供することです。

急いでいただきたい理由があります。

期限を過ぎると、法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて、延滞税が自動的に課されるのが原則です。督促状が届いてもなお納付されないままだと、財産の差押えなどの滞納処分を受ける場合があります。国税庁は、納期限までに納付できない場合、所轄の税務署の徴収担当へ早めに相談するよう案内しています。

猶予が認められれば、扱いは変わります。財産の換価や差押えなどが猶予され、猶予期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。

条件:納税の猶予に当たるのは6つの事実です

最初の要件は、次の6つの事実のいずれかに該当することです。

  1. 財産について、災害を受けたり盗難にあったこと
  2. 納税者や家族が病気にかかったり負傷したこと
  3. 事業を廃業したり休業したこと
  4. 事業について著しい損失を受けたこと
  5. 上の1から4に類する事実があったこと
  6. 本来の期限から1年以上経過した後、修正申告などで納付すべき税額が確定したこと

事実があるだけでは足りません。その事実に基づいて国税を一時に納付できないと認められることが、次の要件になります。売上が落ちて資金が回らない、という説明だけでは弱いということです。

さらに申請書の提出と、原則としての担保の提供が続きます。6番目の事実に当たる場合は、納期限までに申請書を提出するのが原則です。

これらすべてに該当するとき、原則として1年以内に限って猶予が認められる場合があります。

手順:提出する書類は4つに整理できます

提出先は所轄の税務署長です。用意する書類は、次の4つに整理できます。

  1. 「換価の猶予申請書」または「納税の猶予申請書」
  2. 「財産収支状況書」
  3. 担保の提供に関する書類
  4. 災害などの事実を証する書類

ここで境目になるのが金額です。猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は、財産収支状況書に代えて「財産目録」と「収支の明細書」を提出します。一定期間後に税額が確定した場合の手続では、書類が金額で分かれます。100万円以下なら財産収支状況書が1部です。100万円を超えるなら財産目録と収支の明細書が各1部で、これに担保提供書1部が加わると案内されています。

担保に関する書類では、押印(実印)と、その押印に係る印鑑証明書の添付が必要な場合があります。

納税の猶予では、災害などの事実を証する書類も提出書類に含まれます。病気や負傷、休廃業といったきっかけを、書面で裏づける部分です。何を出せばよいか迷ったら、この段階で税務署に確かめておくと後戻りが減ります。

様式は国税庁が公開しています。納税の猶予申請書、財産収支状況書、財産目録、収支の明細書が、それぞれExcelファイルとPDFファイルでそろっています。あわせて「猶予申請書及び添付書類の書き方・記載例」も公開されています。白紙から書き起こす必要はありません。

財産と収支の状況を書いた書類が、申請書とセットになります。

条件:担保がいらない3つの場合

担保は、猶予を受けようとする金額に相当するものを提供するのが原則です。ただし、次の3つのいずれかに当たる場合は提供する必要がありません。

  1. 猶予を受ける金額が100万円以下である場合
  2. 猶予を受ける期間が3か月以内である場合
  3. 担保として提供できる種類の財産がないといった事情がある場合

つまり100万円以下か、3か月以内であれば、担保の話は出てきません。3つ目は、提供できる種類の財産が手元にないといった事情を指します。

ただし、担保が不要になっても申請書や財産・収支の書類まで不要になるとは案内されていません。担保の要否と、書類の準備は別のものとして進めてください。

手順:どの様式を使うかは、きっかけで分かれます

国税庁の手続案内は、きっかけごとにページが分かれています。災害や盗難などで納付が難しくなった場合の申請手続と、法定申告期限等から1年を経過した後に税額が確定した場合の申請手続は、別のページです。

自分のきっかけに合うページから様式を開いてください。

一定期間後に税額が確定した場合の手続では、提出時期が原則として猶予を受けようとする国税の納期限までと示されています。提出先は、その国税の徴収を担当する国税局または税務署です。ここは期限が先にあるタイプなので、確定した時点で動き出す必要があります。

なお、猶予を受けた後に使う様式も別に用意されています。猶予期間内に納付できず、やむを得ない理由があるときは納税の猶予期間延長申請書を使います。すでに差し押さえられた財産があるときは納税の猶予に伴う差押解除申請書です。

猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分けて納めます。

時間:猶予は1年以内、延ばして最長2年

猶予期間は1年の範囲内です。一律に1年が与えられるわけではありません。

申請者の財産や収支の状況に応じて、国税を最も早く完納できると認められる期間に限られます。その間は原則として各月に分割して納付します。無理のない月額を、自分の収支から示すことになります。

当初の期間内に完納できないときにも、道は残っています。やむを得ない理由があると認められる場合、当初の猶予期間が終わる前に所轄の税務署へ申請することで、当初の期間と合わせて最長2年以内の範囲で延長が認められることがあります。対象は、納税の猶予を受けていて、期間内に納付できないやむを得ない理由がある人です。

延長のときも書類は同じ考え方です。100万円以下なら財産収支状況書が1部、100万円を超えるなら財産目録と収支の明細書が各1部、そこに担保提供書1部が加わります。納税の猶予期間延長申請書はExcelとPDFで、記載要領はPDFで公開されています。

大切なのは期間が終わる前に出すことです。

手順:e-Taxでも書面でも出せます

申請の方法は1つではありません。e-Taxによる申請と、書面での提出のどちらも選べます。

スマートフォン、タブレット、パソコンからは、e-TaxソフトのWEB版を利用できます。WEB版は個人の方と法人の方でログイン画面が分かれています。パソコンからe-Taxソフトで申請書を作成し、そのまま提出することも可能です。

書面の場合は持参または送付です。税務署の開庁時間は8時30分から17時までと案内されています。

土曜日、日曜日、祝日などの閉庁日は受付を行っていません。ただし、送付するか、税務署の時間外収受箱へ投函することで提出できます。仕事の都合で日中に動けない方は、この方法を覚えておいてください。

提出先は、申請者が納付すべき国税の徴収を担当する国税局または税務署です。

換価の猶予とは(差押えを止める申請と6か月の期限)

比較:換価の猶予とは申請できる期限が違います

名前の似た制度に、申請による換価の猶予があります。両者は申請できる期限が違います

一定期間後に税額が確定した場合の納税の猶予は、原則として対象となる国税の納期限までに提出します。一方、申請による換価の猶予は、要件のひとつとして納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていることが挙げられています。

提出書類の案内でも、「換価の猶予申請書」または「納税の猶予申請書」と分けて示されています。名称が近いぶん、期限を置き換えて考えないようご注意ください。

差押予告通知が届いたときの残り時間

注意点:差し押さえられている場合と、認められなかった場合

納税の猶予を受けた人で、対象の国税について財産をすでに差し押さえられている場合には、差押解除を申請する手続があります。提出時期は納税の猶予期間です。使う様式は「納税の猶予に伴う差押解除申請書」で、PDFの申請書と記載要領が公開されています。

もう一点、申請すれば必ず通るとは案内されていません。

一定期間後に税額が確定した場合の納税の猶予では、不許可処分について国税通則法75条に基づく不服申立てができると示されています。差押解除申請の却下処分についても、同じ条文に基づく不服申立てが案内されています。結果が思うとおりでなかったときに、次に取れる手が用意されているということです。

手続の根拠も確認しておきます。納税の猶予申請の手続根拠は国税通則法第46条第3項、期間の延長は同条第7項、差押解除は第48条第2項です。

税金を滞納しているときの資金調達の順番

納付する資金そのものを作る方法も、選択肢の一つです。使うかどうかを決める前に、必要額と納付時期を先に整理してください。

今日やる一歩

はじめに、6つの事実のどれに当たるかを確かめます。

次に、猶予を受けたい金額が100万円を超えるかを見てください。ここで、財産収支状況書だけで足りるのか、財産目録と収支の明細書が要るのかが決まります。あわせて、担保が不要になる3つの場合に当てはまるかも確認します。

そのうえで、災害などの事実を証する書類を用意します。何が使えるか判断がつかないときは、そろえる前に徴収担当へ聞いてしまうほうが早いです。

提出はe-Tax、持参、送付から選べます。ただし期限までの提出が要件になっている手続があるため、後回しにしないでください。所轄の税務署の徴収担当へ、早めにご相談ください。

最後に、猶予期間中の各月にいくら納めるかの予定を立てます。期間内の完納が難しいやむを得ない理由が出てきた場合は、当初の猶予期間が終わる前の延長申請を検討します。

参考にした公的資料

このページは資金調達の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。制度や条件は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず各機関・各社の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

納税の猶予が認められると、国税はどのように納めますか?

原則として、猶予期間中の各月に分割して納付します。

猶予を受ける金額が100万円以下でも担保は必要ですか?

100万円以下の場合は、担保の提供は不要です。

納税の猶予申請書はe-Taxで提出できますか?

スマートフォン、タブレット、パソコンからe-Taxを利用して申請できます。

猶予期間を延長できることはありますか?

やむを得ない理由が認められる場合、当初の期間と合わせて最長2年以内の延長が認められることがあります。

30秒診断で探す 今日中に必要な方へ