歯科医院の開業資金|入金は診療の翌々月

更新日: 2026-08-30

この記事でわかること

  • レセプトの提出は診療翌月の10日まで、振込は診療月の翌々月の原則21日までです。
  • 関東信越厚生局によると、保険医療機関の指定は、申請者の希望がない限り毎月1日付で行われます。
  • 無床・歯科診療所の建築資金は、福祉医療機構の医療貸付で3億円以内です。
  • 機械購入資金は2,500万円以内、償還期間5年以内、据置6カ月以内です。
  • 臨床研修等修了歯科医師が診療所を開設したときの届出は、開設後10日以内です。
目次

歯科医院の開業資金は、設備の金額だけでは足りません。診療報酬が届くまでの期間を持ちこたえる資金が、別に要ります。開設届、保険医療機関の指定、レセプト請求、入金は、それぞれ違う日付で動くからです。

まず結論:診療報酬が入るのは、診療した月の翌々月です

社会保険診療報酬支払基金の説明では、レセプトの提出期限は診療翌月の10日です。

振込は、そこからさらに先になります。基金は診療した月の翌々月の原則21日までに、医療機関が指定する銀行口座へ振り込みます。

4月に診療を始めたとします。その4月分の現金が届くのは6月です。2か月ぶんの家賃と人件費が、入金より先に出ていきます

開業資金は、二つに割って数えると見通しが立ちます。開業日までに払い切る資金と、最初の入金までをつなぐ資金です。前者だけを積み上げた計画は、開業した月から苦しくなります。

国民健康保険のぶんは、別のルートを通ります。国民健康保険中央会によれば、国保の診療報酬は都道府県ごとの国保連合会が審査し、支払います。

入金予定を並べるときに、支払基金と国保連合会を混ぜないでください

仕組み:レセプトは診療翌月の10日まで。振込は翌々月21日ごろ

支払基金が示している流れは、4つの段に分かれます。

  1. 医療機関が診療翌月の10日までにレセプトを提出する
  2. 支払基金が診療翌々月の10日までに、事務費とともに保険者へ請求する
  3. 保険者が同じ月の20日までに、医療費と事務費を支払基金へ払い込む
  4. 支払基金が診療した月の翌々月の原則21日までに、医療機関へ振り込む

お金は二段構えで動いています。医療機関から保険者へ請求が上がり、保険者が払い込んだものが医療機関へ下りてきます。審査と精算を挟むぶんだけ、入金は後ろにずれます

「原則21日」と書きましたが、実際の日付は月ごとに動きます。

診療月令和8年度の支払予定日
令和8年2月分4月21日(火)
令和8年4月分6月22日(月)
令和8年7月分9月24日(木)
令和8年9月分11月20日(金)
令和8年12月分令和9年2月22日(月)

7月分の支払予定日は9月24日です。21日から3日うしろにずれています。9月分は逆に、20日へ1日繰り上がっています。

資金繰り表に「翌々月」とだけ書くと、この数日を取りこぼします。公表された支払予定日を、日付そのままで入れてください。給与や家賃の引き落としが20日前後にあると、この数日が効いてきます。

診療した月と振込の月がずれるので、暦の上に置いて確かめます。

条件:保険医療機関の指定は、原則として毎月1日付です

関東信越厚生局が示している手続きの流れでは、保険医療機関の指定は申請者の希望がない限り毎月1日付で行われます。

1日以外を希望することもできます。その場合は、地方社会保険医療協議会の部会が開かれた翌月のうち、いずれの日でも指定が可能とされています。

締切日のほうは一律ではありません。同厚生局は、取り扱う指定申請件数の違いを考えて厚生局事務所ごとに申込締切日を定めていると案内しています。

締切日は、管轄の事務所のページで確かめてください。全国共通の日付はありません。

ここが1か月ずれると、後ろの日付がまとめて動きます。指定日が1か月遅れれば、最初の入金も1か月遅れます。開業予定日だけで資金計画を組まず、指定日・請求日・支払予定日を同じ暦の上に置きます

開業資金の融資(公庫と信用保証協会の2ルート)

費用:医療貸付は無床・歯科診療所で建築資金3億円以内

独立行政法人福祉医療機構の医療貸付には、診療所向けの区分があります。無床・歯科診療所の建築資金は、3億円以内です。

限度額は同じでも、返す期間は建物の条件で変わります。

建築資金の区分融資額償還期間・据置期間
新築資金・耐火建物3億円以内20年以内・据置2年以内
新築資金・その他構造3億円以内15年以内・据置2年以内
新築資金・賃借3億円以内15年以内・据置1年以内
増改築資金(甲種・乙種)・耐火建物3億円以内20年以内・据置1年以内
増改築資金(甲種・乙種)・その他構造3億円以内15年以内・据置1年以内
増改築資金(甲種・乙種)・賃借3億円以内15年以内・据置1年以内

先に見るべきは限度額よりも据置期間です。新築資金なら据置は2年以内。増改築資金なら1年以内です。据置の長さは、入金が始まるまでの持ちこたえに直接効きます

テナントを借りて始めるなら、表の「賃借」の行に当たります。償還期間は15年以内で、据置は1年以内です。耐火建物を建てる場合より、返し始めが早く来ます

開業資金はいくら必要か(平均975万円・中央値600万円)

比較:機械購入資金は2,500万円・5年以内。建物とは条件が違います

同じ無床・歯科診療所向けでも、機械の資金は別枠です。新築資金に伴い必要な機械購入資金は2,500万円以内。償還期間は5年以内で、据置期間は6カ月以内とされています。

建物は15年から20年。機械は5年です。返す速さが3倍以上違います

設備の比重が大きい歯科では、この差がそのまま毎月の返済額に出ます。建物と機械をまとめて「設備資金」の1行に書くと、返済の山が見えなくなります。

区分ごとに、限度額・償還期間・据置期間を横に並べてください

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」も候補になります。対象は事業開始後おおむね7年以内の方です。使えるかどうかは時期で決まるので、同じ表に対象期間の列も足しておきます。

開設届と指定申請は、出す先も期限も別に決められています。

手順:開設届は開設後10日以内。指定申請とは別の手続きです

医療法第7条は、開設の許可が要る場合を定めています。ひとつは、病院を開設しようとするとき。もうひとつは、臨床研修等修了医師および臨床研修等修了歯科医師でない者が、診療所を開設しようとするときです。

裏を返すと、臨床研修等修了歯科医師本人が診療所を開くなら、開設の許可は要りません

代わりに届出があります。医療法第8条は、臨床研修等修了歯科医師が診療所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県知事へ届け出なければならないと定めています。開設の前ではなく、開設した後の10日間です

この開設届と、関東信越厚生局が案内する保険医療機関の指定申請は、別の手続きです。出す先も、期限も、根拠となる規定も違います。

予定表には、開設日・開設届・指定・レセプト提出・振込を、それぞれ別の行で書いてください。

つなぎ資金とは(何と何の間をつなぐかで手段が変わる)

注意点:新設に伴う長期運転資金は300万円が限度です

医療貸付の長期運転資金には、性格の違う2つがあります。名前が似ているので、取り違えやすいところです。

新設に伴う長期運転資金は、300万円かつ所要資金の80%以内です。償還期間は1年以上3年以内、据置期間は6カ月以内とされています。

もう一方の経営安定化資金は4,000万円以内。償還期間は7年以内で、据置期間は1年以内です。

開業に伴って借りられる長期運転資金は300万円まで、という点は先に押さえてください。建築資金の3億円という数字を見た後だと、感覚が狂います。建物に使える枠の大きさと、開業直後の運転に使える枠の大きさは、まったく別物です

診療報酬の入金までをつなぐのは、この運転資金のほうです。設備の支払時期と、指定・請求・入金の日付を重ねて、期間ごとの不足額を先に出しておきます。

今日やる一歩

暦を1枚用意して、次の日付を書き込みます。

  • 開設日
  • 開設届の提出予定日(開設後10日以内)
  • 保険医療機関の指定予定日(原則は毎月1日)
  • 診療翌月10日のレセプト提出期限
  • 診療翌々月の支払予定日

次に、資金を3つに分けます。建築資金、機械購入資金、新設に伴う長期運転資金です。それぞれの限度額・償還期間・据置期間を、横に並べて書きます。

最初の振込日までに支払だけが進む期間が、そこで数字として出てきます。設備の総額を見ていたときには気づけなかった谷です。

参考にした公的資料

この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。

よくある質問

診療報酬は診療からいつ入金されますか?

支払基金では、診療した月の翌々月の原則21日までに、医療機関が指定する銀行口座へ振り込まれます。

保険医療機関の指定はいつ行われますか?

関東信越厚生局が示す流れでは、申請者の希望がない限り、毎月1日付で行われます。

無床・歯科診療所の機械購入資金の条件は?

新築資金に伴い必要な機械購入資金は、融資額2,500万円以内、償還期間5年以内、据置6カ月以内です。

診療所の開設届はいつまでに出しますか?

臨床研修等修了歯科医師が診療所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県知事へ届け出ます。

30秒診断で探す 今日中に必要な方へ