資金繰り予測の立て方|実績と突き合わせて直す
更新日: 2026-08-21
この記事でわかること
- 資金繰り表は、一定期間の現金の動きと手持ち資金の過不足を見える形にする資料です。
- 過去をまとめる実績表と、将来の資金の動きを見る予定表の2つを使います。
- 実績表は、月次試算表と銀行の預金通帳などを基に、可能な限り過去へさかのぼって作ります。
- 予定表は3〜6か月先まで置き、実績が出たら差を比べて問題点を洗い出します。
- 自力で計画を作るのが難しい場合は、専門家への費用を支える制度も確認できます。
目次
まず結論:予測は当てるものではなく、実績と突き合わせて直すものです
資金繰りの予測を前にして、「正確な数字を出せない」と手が止まっていませんか。最初からすべてを当てようとする必要はありません。まず必要なのは、予定と実績を同じ形で並べることです。
資金繰り表は、一定期間内の現金の動きをまとめる資料です。手持ち資金が足りるか、余るかを見える形にします。数字を頭の中だけで追わず、表として確かめるためのものです。
予測を置いた後には、実際の現金の動きが分かります。そこで予定と実績の差を比べ、問題点を洗い出します。差が見えたら、次の予定を見直せます。
大切なのは、予測を一度作って終わりにしないことです。実績が出るたびに差を見る。そして、ずれた場所を次の予定に反映する。この流れなら、いま分かる数字から始められます。
仕組み:資金繰り表は「実績表」と「予定表」の2つでできています
資金繰り表には、資金繰り実績表と資金繰り予定表の2種類があります。役割を分けて考えると、何から手を付けるかが明確になります。
資金繰り実績表は、過去の実績から作る表です。現金が実際にどう動いたかをまとめます。予定の良し悪しを判断する土台になります。
一方、資金繰り予定表は、将来の会社経営に伴う資金の動きを見る表です。これからの現金の動きを先に置き、手持ち資金の過不足を見ます。
つまり、実績表だけでは将来を見られません。予定表だけでは、予測がどこでずれたかを確かめられません。過去の事実と将来の予定を対にすることで、比較できる状態になります。
まず過去を整理し、その形に合わせて将来を置く。この順番なら、同じ項目を横に追って差を見られます。予測を直すための基準も残ります。
手順:月次試算表と預金通帳から、実績表を作ります
最初に作るのは実績表です。使う資料は、月次試算表と銀行の預金通帳などです。月次試算表とは、月ごとに作成する貸借対照表と損益計算書を指します。
月次試算表で会社の数字を確かめ、預金通帳などで現金の動きを追います。中小機構 J-Net21は、これらから可能な限り過去の資金繰り表を作るよう示しています。
手元にある月の情報を一つずつ表へ移してください。ここで扱うのは予想ではなく、すでに起きた動きです。過去の現金の動きを見える形にすることへ集中します。
実績表ができると、予定表と比べる基準ができます。後から数字を確かめるときも、月次試算表や預金通帳などへ戻れます。根拠となる資料と実績表をつなげておくことが、次の比較を支えます。
急いでいるときほど、まず確認できる過去から始めましょう。実績表は予測を直す出発点です。
手順:3〜6か月先の予定表を置きます
実績表を作ったら、その先に予定表を置きます。目安は3〜6か月先です。中小機構 J-Net21も、この先の資金状況を予見できる資金繰り表の作成を勧めています。
予定表で見るのは、将来の会社経営に伴う資金の動きです。実績表と同じ項目で並べれば、後から同じ場所を比較できます。比べられる形で予定を置くことが重要です。
この段階で、未来の数字を確定した事実として扱う必要はありません。予定は、実績が出た後に差を見るための基準になります。いま置いた予定を残すからこそ、後でずれが分かります。
先の月まで一度に考えるのが重いなら、実績表の続きとして月を追ってください。見る期間は3〜6か月先です。将来の資金の動きと手持ち資金の過不足を表の上で確かめます。
予定表を置く目的は、きれいな予測を見せることではありません。先の資金状況を見て、実績との比較に備えることです。
比較:予定と実績の差から、問題点を洗い出します
予定を置いた月の実績が分かったら、2つの表を並べます。見るべきものは、予定と実績の差です。
中小機構 J-Net21は、両者の差異を比較・分析し、問題点などを洗い出せるとしています。合計だけを見るのではなく、どの場所に差が出たかを確かめます。
入金が予定とずれたなら、どの入金がずれたかを見ます。支出に差が出たなら、その支出の場所を見ます。ずれの場所を特定することが、見直しの入口です。
差を見つけた後は、先の予定へ目を戻します。実績によって前提が変わった場所を確かめ、予定表を直します。これが、予測と実績を突き合わせるという作業です。
一回の差だけで作業を終えず、次の実績が出たときも同じように比べます。比較、問題点の確認、予定の見直しを続けることで、予測表が日々の判断に使える形になります。
注意点:借入金の入出金は、事業の収支と分けて置きます
資金繰り表では、借入金と返済を財務収支に置きます。財務収支とは、直接事業に関連しない収入や支出です。
借入金は入ってくる現金、返済は出ていく現金です。ただし、どちらも直接事業に関連する収入や支出とは分けます。借入金と返済を財務収支として見ることで、位置付けがはっきりします。
予定表を作るときも、実績表をまとめるときも、同じ分け方にします。片方だけ置く場所が違うと、差を同じ基準で追えません。予定と実績で項目をそろえることが必要です。
現金の増減だけを一つにまとめるのではなく、その動きがどこに属するかを見ます。借入金と返済については、事業の収支から切り分ける。この整理が比較を分かりやすくします。
費用:専門家と作るときは、費用の3分の2を負担してもらえる制度があります
自分で経営改善計画を作るのが難しい状況なら、経営改善計画策定支援事業を確認してください。対象は、借入金の返済など財務上の問題を抱え、自ら計画を作ることが難しい中小企業・小規模事業者です。
この制度では、認定経営革新等支援機関に対して事業者が負担する費用のうち、中小企業活性化協議会が3分の2を負担します。支援内容には、資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図といった経営改善計画の策定が含まれます。
制度は2つです。早期経営改善計画策定支援は、通称「バリューアップ支援事業」です。もう一つの経営改善計画策定支援は、通称「405事業」です。
早期の上限は、計画策定が50万円、伴走支援が30万円です。合計の上限は80万円です。
通常枠は、計画策定支援の上限が200万円、伴走支援の上限が100万円です。合計の上限は300万円です。中小版GL枠の上限は700万円です。
対象に当てはまるか、どの枠になるかを自分だけで決めつけず、公的な案内を確認してください。資金実績・計画表を含む計画づくりへの支援が示されています。
今日やる一歩
まず、手元にある月次試算表と銀行の預金通帳などを集めてください。そこから、可能な限り過去の現金の動きを実績表にします。
次に、同じ形で3〜6か月先の予定表を置きます。完璧な数字を作ることより、実績と比べられる形を残すことを優先してください。
実績が分かったら、予定表の隣に並べます。どの入金や支出がずれたかを確かめ、問題点を洗い出します。そして、差を次の予定に反映します。
今日の一歩は、資料を集めて過去の一月分を表にすることです。実績を置き、予定を置き、差を見る。この順番で資金繰りの予測を始めましょう。
参考にした公的資料
このページは資金調達の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。制度や条件は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず各機関・各社の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
資金繰り予測は何か月先まで作ればよいですか?
中小機構 J-Net21では、3〜6か月先の資金状況を予見できる資金繰り表の作成が勧められています。
資金繰り実績表は何を見て作りますか?
月次試算表と銀行の預金通帳などから、可能な限り過去の資金繰り表を作ります。
予定と実績がずれたらどうしますか?
両者の差を比較して、どの入金や支出がずれたかを確かめ、問題点を洗い出します。
専門家と計画を作る費用への支援はありますか?
条件に合う中小企業・小規模事業者には、中小企業活性化協議会が対象費用の3分の2を負担する制度があります。