保育園の開業資金|面積と職員の下限
更新日: 2026-08-31
この記事でわかること
- 乳児室は1人1.65平方メートル以上、ほふく室は1人3.3平方メートル以上です。
- 保育室または遊戯室は1人1.98平方メートル以上、屋外遊戯場は3.3平方メートル以上です。
- 保育士の数は乳児おおむね3人に1人以上。年齢が上がるほど比率が緩みます。
- 保育所1つにつき保育士2人を下ることはできません。定員が小さくても同じです。
- 認可を受けない施設は、事業の開始の日から1月以内に都道府県知事へ届け出ます。
目次
まず結論:必要額を先に決めるのは、面積と人数です
保育園の開業資金は、希望額から逆算するものではありません。必要な額を先に決めているのは、面積と職員の数です。その二つには、省令が定める下限があります。
出発点は、受け入れる子どもの年齢と人数です。
年齢と人数を置くと、1人あたりの面積から必要な広さが見えます。さらに、年齢別の配置基準から保育士の数が決まります。
つまり、面積が定員を決め、定員と年齢が保育士数を決めるという順番です。
この順番なら、物件の大きさと人件費を同じ前提で考えられます。反対に、定員や年齢構成が空欄なら、必要な面積も人数も定まりません。開業資金は、基準の下から順に積み上げます。
仕組み:1人あたりの面積が、省令で決まっています
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条は、保育所の設備を定めています。乳児または満2歳未満の幼児を入所させる場合、乳児室またはほふく室が必要です。医務室、調理室、便所も設けます。
乳児室は、対象となる子ども1人につき1.65平方メートル以上です。
ほふく室は、対象となる子ども1人につき3.3平方メートル以上です。どちらにも、保育に必要な用具を備えます。
満2歳以上の幼児を入所させる場合は、保育室または遊戯室が必要です。
その面積は、幼児1人につき1.98平方メートル以上です。屋外遊戯場は、幼児1人につき3.3平方メートル以上とされます。調理室と便所も設けなければなりません。
ここで大切なのは、部屋の広さを一括して考えないことです。
乳児室、ほふく室、保育室または遊戯室では、1人あたりの基準が異なります。受け入れる年齢に対応させて、必要な室と面積を分けて確認します。
| 対象となる室・場所 | 1人あたりの面積 |
|---|---|
| 乳児室 | 1.65平方メートル以上 |
| ほふく室 | 3.3平方メートル以上 |
| 保育室または遊戯室 | 1.98平方メートル以上 |
| 屋外遊戯場 | 3.3平方メートル以上 |
この表は、物件を見る前の基準表になります。予定する年齢別人数と対応する面積を並べれば、必要な広さを順番に出せます。面積を先に確定するのではなく、人数と基準を結び付ける考え方です。
費用:面積が決まると、借りる物件の大きさが決まります
物件の大きさは、思いつきの定員だけでは決められません。年齢別の人数に面積基準を当てると、必要な室の広さが決まります。そこに医務室、調理室、便所などの必要設備も対応させます。
したがって、定員を増やせば必要な面積も変わるという関係を先に見ます。
乳児室だけを前提にした面積と、ほふく室を前提にした面積は同じではありません。満2歳以上の幼児には、保育室または遊戯室と屋外遊戯場の基準があります。
借りる物件を考えるときは、受け入れる年齢と人数を物件条件へ置き換える必要があります。
この置き換えが、開業資金を組み立てる最初の土台です。広さが未確定のままでは、物件の大きさを決められません。まず基準面積を出し、その後に物件を照らします。
保育に必要な用具も、乳児室、ほふく室、保育室または遊戯室に備えます。
用具を備える室そのものが、年齢と人数から決まります。部屋と用具を切り離さずに並べると、必要な項目を追いやすくなります。
条件:保育士の数は、子どもの年齢で変わります
同基準第33条第2項は、保育士の配置を年齢別に定めています。乳児は、おおむね3人につき保育士1人以上です。満1歳以上満3歳未満は、おおむね6人につき1人以上となります。
満3歳以上満4歳未満は、おおむね15人につき1人以上です。
満4歳以上は、おおむね25人につき1人以上です。加えて、保育所1つにつき2人を下ることはできません。
| 子どもの年齢 | 保育士の配置 |
|---|---|
| 乳児 | おおむね3人につき1人以上 |
| 満1歳以上満3歳未満 | おおむね6人につき1人以上 |
| 満3歳以上満4歳未満 | おおむね15人につき1人以上 |
| 満4歳以上 | おおむね25人につき1人以上 |
ここでも、定員の合計だけを見る方法では足りません。年齢ごとの人数を分けてから配置基準を当てる必要があります。年齢区分が変われば、同じ人数でも対応する比率が変わるからです。
先に年齢構成を書けば、保育士数の根拠を一つずつ確認できます。
最後に、保育所ごとの下限も確認します。年齢別の計算だけで終えず、2人を下回っていないかを見ます。
この人数が、人件費を考える土台です。
開業資金を考える段階で、面積の表と職員数の表を同じ定員でそろえることが重要です。片方だけ違う定員を使えば、資金の前提もずれます。一つの年齢別人数表を共通の出発点にします。
注意点:置くのは保育士だけではありません
同基準第33条第1項では、保育所に置く職員が示されています。必要なのは保育士だけではありません。嘱託医と調理員も置くことが定められています。
ただし、調理業務の全部を委託する施設は、調理員を置かないことができます。
ここは、保育士の配置比率とは分けて確認します。保育士数は、子どもの年齢別人数から積み上げます。一方、嘱託医と調理員は、第1項に示された職員として捉えます。
職員欄を保育士だけで終わらせないことが、人数整理の要点です。
調理業務を全部委託するかどうかで、調理員の扱いが変わります。予定を一つに定め、同じ前提を人数表と資金表に反映します。
比較:認可を受けない場合に出す届出は別です
児童福祉法第59条の2は、認可を受けていない施設の届出を定めています。対象外となる施設を除き、設置者は、事業開始の日から1月以内に届け出ます。届出先は都道府県知事です。
これは、面積や職員数を積み上げる作業とは別に確認する手続きです。
厚生労働省の「保育所の設置認可等について」は、認可手続きの入口として使えます。認可を受けない施設については、児童福祉法の届出期限を別枠で管理します。
こども家庭庁のページには、認可外保育施設に関する資料が掲載されています。
掲載物には、「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」があります。「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付について」も掲載されています。見落としがちな指導監督基準項目チェックリストも確認できます。
ここでは、掲載物の名称と届出期限を混同しないことが大切です。
面積・職員の基準、認可の手続き、認可外の届出を別々に整理します。それぞれの根拠資料を並べれば、確認先が明確になります。
手順:面積から定員、定員から人数、人数から人件費
まず、受け入れる子どもを年齢区分ごとに書きます。乳児、満1歳以上満3歳未満、満3歳以上満4歳未満、満4歳以上の順です。面積の確認では、満2歳未満と満2歳以上に対応する室も分けます。
次に、対象となる室へ1人あたりの面積基準を当てます。
乳児室なら1.65平方メートル以上、ほふく室なら3.3平方メートル以上です。保育室または遊戯室は1.98平方メートル以上です。屋外遊戯場は3.3平方メートル以上となります。
この作業で、年齢別人数と必要面積が一本につながります。
続いて、年齢区分ごとの人数へ保育士の配置比率を当てます。最後に、保育所1つにつき2人以上という下限も確認します。
さらに、嘱託医と調理員を職員欄へ加えます。
調理業務の全部を委託する場合は、調理員を置かない扱いを反映します。この時点で、職員数から人件費を積み上げる入口ができます。面積から定員、定員と年齢から人数へ進む流れです。
資金表では、根拠を短く添えます。
面積の横には第32条、職員の横には第33条と書けば、確認箇所を分けられます。認可外の届出は、児童福祉法第59条の2として別欄にします。一つの数字に一つの根拠を対応させる整理です。
資金の選択肢として、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金があります。対象は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方です。
融資限度額は7,200万円です。
返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。据置期間は、いずれも5年以内です。面積と人数から必要額を積み上げた後に、この条件と照らします。
時間:建物の階数で、求められる構造が変わります
保育室等を2階に設ける建物には、建物構造などの要件があります。ここでいう保育室等は、乳児室、ほふく室、保育室または遊戯室です。耐火建築物または準耐火建築物であること等が要件に含まれます。
3階以上に保育室等を設ける建物は、耐火建築物であることが求められます。
また、屋内階段や屋外階段なども確認対象です。常用と避難用の施設または設備を、それぞれ1以上設けることが要件に含まれます。
階数だけで判断は終わりません。
保育室等の各部分から避難用の施設または設備の一つまで、歩行距離を30メートル以下にします。壁と天井の室内に面する部分は、不燃材料で仕上げます。可燃性のカーテン、敷物、建具などには防炎処理が必要です。
つまり、階数は構造と避難設備の確認につながる条件です。
物件の面積が足りるかだけでなく、保育室等を置く階も同時に見ます。階数、構造、階段、歩行距離、仕上げ、防炎処理を分けて確認します。
面積の条件を満たしていても、構造に関する確認は残ります。
だから物件を考える段階で、必要面積と設置階を同じ紙に書きます。広さの確認と建物要件の確認を並行させるためです。
今日やる一歩
紙を一枚用意し、受け入れる子どもの人数を年齢区分ごとに書きます。次に、面積基準を掛ける欄と保育士比率を当てる欄を作ります。まだ金額を置かず、まず基準から必要量を出します。
面積欄には、乳児室、ほふく室、保育室または遊戯室、屋外遊戯場を並べます。
設備欄には、医務室、調理室、便所を書きます。乳児室などに備える保育用具も確認対象にします。
職員欄には、保育士、嘱託医、調理員を置きます。
調理業務を全部委託する予定なら、その前提も記します。全項目が同じ年齢別人数を基にしているかを最後に確認します。
この一枚が、開業資金を考える土台です。
面積が定員を決め、定員と年齢が保育士の数を決めます。必要額を先に決めるのは、面積と職員の数です。順番を崩さず、人件費までつなげます。
参考にした公的資料
- 厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」
- e-Gov法令検索「児童福祉法」
- こども家庭庁「認可外保育施設指導監督基準、証明書交付要領等」
- 厚生労働省「保育所の設置認可等について」
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。
よくある質問
保育所の乳児室にはどのくらいの広さが必要ですか?
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条により、乳児室は1人につき1.65平方メートル以上、ほふく室は1人につき3.3平方メートル以上です。
保育士は何人置く必要がありますか?
同基準第33条第2項により、乳児おおむね3人に1人以上、満1歳以上満3歳未満はおおむね6人に1人以上で、保育所1つにつき2人を下ることはできません。
保育士以外に置く職員はいますか?
同基準第33条第1項により、保育所には保育士のほか嘱託医と調理員を置きます。調理業務の全部を委託する施設は調理員を置かないことができます。
認可外保育施設の届出はいつまでに行いますか?
児童福祉法第59条の2により、その事業の開始の日から1月以内に都道府県知事へ届け出ます。