差押予告通知が届いたら|条文で決まっている残り時間

更新日: 2026-08-07

この記事でわかること

  • 督促状は納期限から50日以内、その10日後から差押えが可能になること
  • 差押予告通知が届いた時点で、法律上はすでに差押えができる状態であること
  • 売掛金を差し押さえられると、取引先に通知が行くこと
  • 差押えを止める換価の猶予と、その申請期限
  • 延滞税は2か月を境に年2.8%から年9.1%に上がること
目次

封筒を開けて「差押予告」の文字を見たとき、頭が真っ白になったかもしれません。このページは、いま実際にどれだけ時間が残っているのかを条文で確認し、何をどの順番でやるかを整理するためのものです。

最初に、法律上の時間軸を正確にお伝えします。次に、差し押さえられると何が起きるのかを確認します。そのうえで差押えを止める手続きを説明し、最後に納付する資金をどう作るかに触れます。

まず結論:残り時間を条文で確認する

不安なときほど、正確な情報が支えになります。差押えまでの流れは、法律で決まっています。

順番はこうなっています。

段階根拠時期
納期限を過ぎる
督促状が発せられる国税通則法 第37条納期限から50日以内
差押えが可能になる国税通則法 第40条・国税徴収法 第47条督促状を発した日から起算して10日を経過した日まで に完納しないとき

(出典: 国税通則法|e-Gov法令検索国税庁の通達(第47条関係)・いずれも2026年8月7日確認)

ここで正直にお伝えしなければならないことがあります。「差押予告通知」は、この条文に定められた手続きではありません。督促状のあとに、実務上の運用として送られる通知です。

つまり差押予告通知が手元に届いた時点で、法律上はすでに差押えができる状態になっていることが多いということです。「予告だから、まだ先の話だろう」と考えるのは危険です。

一方で、これは絶望的な話ではありません。通知を送るということは、まだ相談の余地を残しているという意味でもあります。本当に差し押さえるだけなら、通知を送る必要はないからです。

仕組み:差し押さえられると何が起きるか

行動の優先順位を決めるために、何を失うのかを確認しておきます。

差押えの対象になり得るものは複数ありますが、事業への打撃という点で最も重いのは売掛金です。

預金が差し押さえられた場合、失うのはその時点の残高です。痛手ではありますが、事業そのものは続けられます。

ところが売掛金が差し押さえられると、取引先に通知が行きます。滞納している事実が、取引先に知られます。

その結果として起こり得ることは次のとおりです。

  • 以後の取引条件を見直される
  • 与信枠を下げられる、または現金取引に切り替えられる
  • 新規の発注を止められる

資金繰りを立て直すための売上そのものが細るため、ここが最悪の結末になります。だからこそ、差押えは何としても手前で止める必要があります。

督促状からの日数は、条文で決まっています。

手順:差押えを止める手続き

止める方法は用意されています。順に説明します。

換価の猶予・納税の猶予

国税を一時に納付することが困難な場合には、猶予の制度があります。換価の猶予が認められると、分割での納付が可能になり、財産の差押えや換価が猶予されます(出典: 国税庁「換価の猶予の申請手続」・2026年8月7日確認)。

申請による換価の猶予には、納期限から6か月以内という期限があります。放置していた期間が長いと、この選択肢そのものが使えなくなります。通知が届いた時点で、すぐに動いてください。

電話での切り出し方

通知には、担当部署と連絡先が記載されています。まずそこに電話します。

◯◯株式会社の◯◯と申します。差押予告のご通知をいただきました。 一括での納付が難しい状況ですので、分割での納付をご相談させていただきたく、お電話いたしました。伺う日をいただけますでしょうか。

ここで大切なのは、通知を受け取ったこと自体を伝えることです。連絡が来ないまま期限を迎えると、意思がないものとして扱われます。

来所したときは、金額を自分から出します。

滞納額は◯◯円と認識しております。毎月◯◯円であれば確実にお納めできます。◯月に◯◯社からの入金が◯◯円ございますので、その月は上乗せしたいと考えております。資金繰り表をお持ちしました。

「できるだけ払います」という答え方では、判断材料がないため話が進みません。数字を出せるかどうかが分かれ目です。

持っていくもの

  • 差押予告通知そのもの
  • 直近の決算書(できれば2期分)
  • 直近の試算表
  • 今後6か月ぶんの資金繰り表
  • 預金通帳の直近の記帳分

資金繰り表は手元にないことが多いので、先に作ってください。今後6か月の入金予定と支払予定を月ごとに並べ、月末の残高を計算するだけで足ります。入金は確定しているものだけを書いてください。

費用:放置した場合の負担

もう1つ、数字で押さえておいていただきたいことがあります。

延滞税の割合は、国税庁が毎年公表しています。令和8年1月1日から令和8年12月31日までは、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です。(出典: 国税庁「延滞税の割合」・2026年8月7日確認)

2か月を境に、負担が3倍以上に跳ね上がります。時間が経つほど元本以外の部分が膨らむため、待っても状況は良くなりません。

売掛金を差し押さえられると、その債権はもう資金化できません。

換価の猶予の申請と6か月の期限を読む

比較:納付する資金をどう作るか

相談と並行して、初回の納付分を用意する必要があります。費用の安い順に見ていきます。

まず、借りずに済ませられないか

仕入先への支払いを1か月待ってもらう、銀行への返済を一時的に減らしてもらうといった交渉には費用がかかりません。切り出し方は次のページにまとめています。

リスケ・支払条件の交渉の進め方を読む

公的融資

金利は年1〜3%程度で、他の手段とは一桁違います。ただし滞納があると審査は厳しくなります。だからこそ、猶予の手続きを先に済ませておくことに意味があります。分割納付の約束が成立していれば、少なくとも放置している事業者ではなくなるためです。

公的融資とは(公庫・制度融資・マル経)

売掛金の資金化

時間で追い詰められている場合の手段です。

取引先に出した請求書があれば、買い取ってもらって入金日より前に現金化できます。借入ではないため、審査で主に見られるのは自社の決算ではなく取引先の支払い能力です。滞納があっても利用できる場合があるのは、この構造によります。

ここで差押予告が届いている場合に特有の注意点があります。

売掛金が差し押さえられてしまうと、その債権はもう資金化できません。差押えの前に動くかどうかで、使える手段の数が変わります。この点でも、通知が届いた時点での初動が結果を決めます。

費用は手段の中で最も重くなります。判断の材料として、年利換算の考え方をご覧ください。

手数料の相場と年利換算を読む

注意点:やってはいけないこと

追い詰められているときほど、危ない話が近づいてきます。

  • 通知を開けずに放置する——期限は待ってくれません
  • 売掛金を別口座に移して隠す——滞納処分を免れる行為として、より重い扱いになり得ます
  • 「審査なし」をうたう業者から借りる——貸金業の登録がない違法な貸付の可能性があります
  • 給与を買い取るという業者を使う——金融庁が注意喚起を出しています

違法な業者の見分け方を読む

条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。

口座が凍結されたときの見分け方を読む

今日やる一歩

このページを閉じたあと、最初にやることを1つだけ決めましょう。

通知に書かれている連絡先に、今日中に電話をかけてください。所要時間は5分です。滞納額の全額をすぐに用意できなくても、「相談したい」と伝えるだけで構いません。

そのうえで、資金繰り表の作成に取りかかってください。窓口で数字を出せるかどうかが、分割の可否を分けます。

社会保険料についても同じ考え方の制度があります。両方に滞納がある場合は、それぞれの窓口へ相談が必要です。

社会保険料が払えないときの手順を読む

参考にした公的資料

このページは資金調達と公的制度の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。実際の手続きや猶予の可否は個別の事情によって判断されます。必ず所轄の税務署または顧問税理士へご確認ください。制度の内容は変わることがあります。

よくある質問

差押予告通知が届いたら、あとどれくらいで差し押さえられますか?

法律上の期限は、督促状を基準に決まっています。国税通則法第37条により督促状は原則として納期限から50日以内に発せられ、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは差押えができるとされています。差押予告通知はその後に送られる実務上の通知であるため、届いた時点で法律上はすでに差押えが可能な状態になっていることが多いと考えてください。

売掛金を差し押さえられると、どうなりますか?

取引先に対して差押えの通知が行われるため、滞納の事実が取引先に伝わります。以後の取引条件を見直される、与信を下げられるといった影響が生じ得ます。預金の差押えと違い、事業への影響が最も大きいのが売掛金の差押えです。

差押えを止める方法はありますか?

換価の猶予や納税の猶予といった制度があります。換価の猶予が認められると、分割での納付が可能になり、財産の差押えや換価が猶予されます。申請による換価の猶予は納期限から6か月以内という期限があるため、通知が届いた時点で速やかに所轄の税務署へ相談してください。

延滞税はどれくらいかかりますか?

国税庁が公表している令和8年1月1日から令和8年12月31日までの割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です。2か月を境に大きく上がるため、放置するほど負担が増えます。

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