口座が凍結され引き出せないとき|原因別の見分け方
更新日: 2026-08-07
この記事でわかること
- 凍結の原因は差押え・銀行の相殺・その他の3つに分かれること
- どれに当たるかを最短で確認する方法
- 差押えなら、まず徴収の担当窓口に電話すること
- 口座が使えない間に支払いを回す方法
- 他の口座に資金を移すのが危険な理由
目次
朝、口座を確認したら引き出せなくなっていた。
まず落ち着いて、原因を確かめるところから始めます。原因によって、やるべきことがまったく違うからです。
このページでは、原因の見分け方と、口座が使えない間の動き方を整理します。
最初に、原因が3つに分かれることをお伝えします。次に、確認の手順を示します。そのあと原因別の対応を並べ、最後に資金の作り方に触れます。
まず結論:原因は3つに分かれます
凍結と呼ばれる状態には、性質の異なるものが混ざっています。
| 原因 | 何が起きているか | 連絡先 |
|---|---|---|
| 差押え | 税金・社会保険料の滞納で役所が差し押さえた | 役所の徴収担当 |
| 銀行の相殺 | 融資の延滞に対し、銀行が預金と相殺した | 銀行の融資担当 |
| 銀行側の判断 | 名義や取引内容に関する確認 | 銀行の窓口 |
この3つは、連絡すべき相手も、解決の道筋も違います。
だから最初にやることは「どれに当たるか」の確認です。
手順:原因を確認する
順番があります。
1. 銀行に電話する
これが最短です。取引店に電話し、次のように聞いてください。
◯◯株式会社の◯◯です。当社の口座から出金ができない状態になっております。理由をご教示いただけますでしょうか。
差押えの場合、銀行は「差押えがあった」と教えてくれます。どこの役所からかも分かることが多いはずです。
2. 郵便物を確認する
差押えの前には、督促状や差押予告通知が届いているはずです。
心当たりのある封筒を探してください。連絡先の電話番号がそこに書かれています。
3. 借入の延滞がないか確認する
融資の返済が遅れている場合、銀行が預金と相殺している可能性があります。
これは差押えとは別の話です。銀行の融資担当に連絡してください。
手順:差押えだった場合
いちばん多い原因です。
差押えを行った役所の徴収担当に、その日のうちに電話してください。
伝え方
◯◯株式会社の◯◯と申します。預金の差押えについてご連絡いたしました。滞納分について、分割での納付をご相談させていただきたく存じます。伺う日をいただけますでしょうか。
「差押えを解除してほしい」から入らないでください。まず納付の相談として持っていくほうが、話が進みます。
猶予の制度があります
国税を一時に納付することが困難な場合、換価の猶予や納税の猶予という制度があります。認められると分割での納付が可能になり、財産の差押えや換価も猶予されます(出典: 国税庁「換価の猶予の申請手続」・2026年8月7日確認)。
ただし申請による換価の猶予は、納期限から6か月以内です。
期限を過ぎていても、分割納付の相談そのものは可能です。諦めずに電話してください。
差押えを止める申請の手続は、国税庁が換価の猶予の申請手続で公表しています(2026年8月20日確認)。
注意点:やってはいけないこと
追い詰められているときほど、判断を誤ります。
- 別の口座に資金を移す——滞納処分を免れる行為として、より重い扱いになり得ます
- 取引先に振込先を変えてもらう——同じ理由で危険です。また事情を察されます
- 連絡せずに放置する——売掛金など他の財産にも差押えが及びます
移すのではなく、猶予の申請という正規の手続きで止めるほうが、結果的に有利です。
売掛金を差し押さえられると、その債権はもう資金化できません。さらに取引先に通知が行きます。口座で止まっているうちに動くことが重要です。
手順:口座が使えない間の支払い
並行して、目の前の支払いを回します。
1. 支払う相手に連絡する
黙って期日を迎えるのが、いちばん悪い結果になります。
恐れ入ります。当社の口座に事情があり、お支払いが◯日ほど遅れる見込みです。◯月◯日までには必ずお納めいたします。
「いつまでに」を日付で言えるかどうかで、相手の対応は変わります。
2. 使える口座を確認する
資金を作っても、振り込んでもらう口座が必要です。
差押えは口座ごとに行われます。他の金融機関に凍結されていない口座があるか、先に確認してください。
ない場合は、資金化の相談をする前にそこを解決する必要があります。
3. 売掛金を資金化する
まだ差し押さえられていない売掛金があれば、それを現金にできる場合があります。
これは借入ではないため、審査で主に見られるのは自社の状況ではなく取引先の支払い能力です。
問い合わせのときに、口座の状況を正直に伝えてください。振込先の口座が必要になるため、隠しても手続きの途中で分かります。
ただし費用は重くなります。手数料10%を入金まで30日の請求書に使えば、年利に直しておよそ120%相当です(目安)。
条件:銀行の相殺だった場合
差押えではなく、銀行が融資の延滞に対して預金と相殺した場合です。
この場合の相手は銀行です。
融資担当に連絡し、返済条件の見直しを相談してください。返済額を一時的に減らしてもらう相談は、決して珍しいことではありません。
ただし正直に申し上げます。相殺まで至っているということは、それ以前に返済の遅れが続いている状態です。
この段階では、資金調達だけでは解決しません。中小企業活性化協議会など、公的な相談窓口を使うことをおすすめします。各都道府県に設置されており、無料で相談できます。
条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。
今日やる一歩
このページを閉じたら、最初にやることを1つだけ決めましょう。
- 原因が分からない——銀行の取引店に電話する。5分で分かります
- 差押えと分かった——役所の徴収担当に電話し、分割納付を相談する
- 支払期日が近い——支払う相手に連絡し、いつまでに払えるかを日付で伝える
口座で止まっている段階なら、まだ売掛金という手段が残っています。放置すると、それも失います。
参考にした公的資料
- 国税庁「換価の猶予の申請手続」——換価の猶予・納税の猶予(2026年8月7日確認)
- 金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」——実質的な貸付への注意(2026年8月7日確認)
このページは、資金調達と公的制度の判断材料をお伝えするものです。特定のサービスの利用を勧めるものではありません。差押えの解除や猶予の可否は個別の事情によって判断されます。所轄の税務署・年金事務所へご確認ください。
よくある質問
口座が凍結される原因は何ですか?
大きく3つです。1つ目は税金・社会保険料の滞納による差押え。2つ目は銀行が融資の延滞に対して預金と相殺する場合。3つ目は名義や取引内容に関する銀行側の判断です。原因によって連絡すべき相手も対応も変わるため、まず銀行に確認してください。
差押えだった場合、どうすればよいですか?
差押えを行った役所の徴収担当に電話することが最初です。国税には換価の猶予・納税の猶予という制度があり、認められると財産の差押えや換価が猶予されます。ただし申請による換価の猶予は納期限から6か月以内という期限があります。
口座が使えない間、どうやって支払いますか?
まず支払う相手に連絡し、事情と入金の見込みを伝えてください。そのうえで、売掛金の資金化など口座に依存しない方法で資金を作ります。ただし振込先の口座が必要になるため、凍結されていない別の口座があるかを先に確認してください。
急いで別の口座にお金を移してもよいですか?
おすすめできません。滞納処分を免れる目的で財産を移す行為は、より重い扱いになり得ます。また銀行との関係でも信用を失います。移すのではなく、猶予の申請という正規の手続きで止めるほうが結果的に有利です。