税金の滞納があっても使える資金調達|正しい順番

更新日: 2026-08-07

この記事でわかること

  • 滞納があると融資は厳しくなるが、猶予の申請で状況が変わること
  • 換価の猶予は納期限から6か月以内という期限があること
  • 売掛金の資金化は借入ではないため、滞納があっても使える場合があること
  • 順番を間違えると、使える手段が減ること
  • 売掛金を差し押さえられる前に動く必要があること
目次

税金や社会保険料の滞納がある。それでも資金が必要になった。

このページでは、滞納があるときに、どの順番で動くべきかを整理します。

最初に、順番が結果を左右することをお伝えします。次に、猶予の制度を確認します。そのあと、滞納があっても使える手段を並べ、最後に急ぐべき理由に触れます。

まず結論:順番を間違えると、選択肢が減ります

滞納があるときに最も重要なのは、手段の選び方ではありません。動く順番です。

猶予の申請を先に済ませるかどうかで、そのあとに使える手段の数が変わります。

正しい順番は次のとおりです。

順番やること費用
1税務署・年金事務所へ猶予を申請するゼロ
2仕入先などへ支払いの相談をするゼロ
3公的融資に相談する年1〜3%程度
4売掛金を資金化する1回1〜20%

逆から手を付けると、いちばん高い手段で最初の穴を埋めることになります。

仕組み:猶予の制度を確認する

まず1番目の手続きです。

国税を一時に納付することが困難な場合、換価の猶予や納税の猶予という制度があります。認められると分割での納付が可能になり、財産の差押えや換価も猶予されます(出典: 国税庁「換価の猶予の申請手続」・2026年8月7日確認)。

社会保険料にも同じ考え方の制度があります。日本年金機構の案内では、換価の猶予が認められると財産の差押えや換価が猶予されるとされています。

期限があります

ここが最も見落とされます。

申請による換価の猶予は、納期限から6か月以内です。

国税も、厚生年金保険料等も同様の期限が定められています。放置していた期間が長いと、この選択肢そのものが使えなくなります。

電話は5分です。まず相談の予約だけ取ります。

猶予を済ませると、何が変わるか

2つ変わります。

1つ目。差押えが止まります。とくに売掛金の差押えを避けられる点が重要です。

2つ目。金融機関への説明が変わります。分割納付の約束が成立していれば、「放置している事業者」ではなくなります。

これが、公的融資に相談する前に猶予を済ませるべき理由です。

詳しい手順は、税目ごとのページにまとめています。

税金を滞納しているときの動き方を読む

社会保険料が払えないときの手順を読む

比較:滞納があっても使える手段

猶予の手続きと並行して、資金そのものを作ります。

公的融資

滞納があると審査は厳しくなります。ただし門前払いではありません。

分割納付の約束ができていれば、その事実を説明できます。金利は年1〜3%程度で、他の手段とは一桁違います。

公的融資とは(公庫・制度融資・マル経)

売掛金の資金化

これは借入ではありません。だから滞納があっても使える場合があります。

理由は審査の見方にあります。主に見られるのは自社の決算や納税状況ではなく、取引先の支払い能力です。

ただし正直に申し上げます。

手数料を払って作ったお金を、滞納の解消に充てるのは割の良い選択ではありません。差押えが目前に迫っているなど、時間で追い詰められた場合の手段です。

手数料の相場と年利換算を読む

換価の猶予の申請と6か月の期限を読む

注意点:売掛金を差し押さえられる前に

急ぐべき理由が1つあります。

売掛金が差し押さえられると、その債権はもう資金化できません。

さらに、取引先に差押えの通知が行きます。滞納の事実が取引先に知られ、以後の取引条件を見直されることがあります。

つまり、放置すると次の2つを同時に失います。

  • 資金化という手段
  • 立て直すための売上そのもの
差押えの前か後かで、使える手段の数が変わります。

差押えまでの流れと日数は、条文で決まっています。

差押予告通知が届いたときにやることを読む

注意点:やってはいけないこと

追い詰められているときほど、危ない話が近づいてきます。

  • 「滞納OK」「審査なし」をうたう業者——貸金業の登録がない違法な貸付のおそれがあります
  • 売掛金を別口座に移して隠す——滞納処分を免れる行為として、より重い扱いになり得ます
  • 猶予を申請せずに借入だけ増やす——延滞税が積み上がり、状況が悪化します

金融庁も、実質的な貸付にあたるものについて注意喚起を出しています。

違法な業者の見分け方を読む

手順:猶予の申請で準備するもの

申請を決めたら、次を用意してください。

  • 直近の決算書(できれば2期分)
  • 直近の試算表
  • 今後6か月ぶんの資金繰り表
  • 預金通帳の直近の記帳分
  • 納付書や督促状など、滞納額が分かる書類

このうち資金繰り表だけは、手元にないことが多いはずです。

作り方は簡単です。今後6か月について、入るお金と出るお金を月ごとに並べ、月末に残る額を計算します。

入るお金は、確定しているものだけを書いてください。見込みを混ぜると、窓口で根拠を聞かれたときに答えられません。

文例:窓口での伝え方

そのまま使える言い方をお示しします。

まず電話です。

◯◯株式会社の◯◯と申します。◯◯税の納付についてご相談させてください。一括での納付が難しい見込みですので、分割での納付をご相談したく、お電話いたしました。伺う日をいただけますでしょうか。

来所したときは、金額を自分から出します。

滞納額は◯◯円と認識しております。毎月◯◯円であれば確実にお納めできます。◯月に◯◯社からの入金が◯◯円ございますので、その月は上乗せしたいと考えております。資金繰り表をお持ちしました。

「払わない」ではなく「払う意思はあるが一括が難しい」と伝えてください。制度の目的が、納める意思のある事業者を支えるところにあるからです。

「毎月いくらなら払えるか」を自分から言えるかどうかが分かれ目です。「できるだけ払います」では、相手は判断できません。

条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。

今日やる一歩

このページを閉じたら、最初にやることを1つだけ決めましょう。

  • まだ猶予を申請していない——税務署または年金事務所に電話し、相談の予約を取る
  • 納期限から6か月が近い——今日中に電話する。期限を過ぎると申請できません
  • 差押予告が届いている——通知の連絡先へ電話し、同時に請求書を集計する

順番を守るほど、あとで使える手段が多く残ります。

条件(時間・立場・金額)から絞り込む

参考にした公的資料

このページは、資金調達と公的制度の判断材料をお伝えするものです。特定のサービスの利用を勧めるものではありません。猶予の可否や要件は個別の事情によって判断されます。所轄の税務署・年金事務所へご確認ください。

よくある質問

税金を滞納していると、融資は受けられませんか?

審査は厳しくなります。ただし猶予の手続きを済ませ、分割納付の約束が成立していれば、放置している事業者ではなくなります。国税には換価の猶予・納税の猶予、社会保険料にも同様の制度があり、認められると分割納付が可能になり、財産の差押えも猶予されます。

滞納があってもファクタリングは使えますか?

使える場合があります。売掛金を買い取ってもらう取引は借入ではなく、審査で主に見られるのは自社ではなく取引先の支払い能力だからです。ただし費用は重いため、まず猶予の申請を済ませることをおすすめします。

猶予の申請には期限がありますか?

あります。国税の換価の猶予は納期限から6か月以内、厚生年金保険料等の換価の猶予も日本年金機構の案内で納期限から6か月以内とされています。放置していた期間が長いと、この選択肢そのものが使えなくなります。

何から手を付ければよいですか?

猶予の申請が最初です。次に費用のかからない交渉、そのあとで公的融資、最後に売掛金の資金化という順番になります。この順番を守るほど、使える手段が多く残ります。

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