税金を滞納していても資金調達はできる?順番と注意点

更新日: 2026-07-23

目次

税金や社会保険料の滞納があると、「もうどこも貸してくれないのでは」「差し押さえられるのでは」と、二重の不安に押しつぶされそうになりますよね。

先に、少しだけ肩の力を抜ける結論をお伝えします。税金を滞納していても、使える資金調達の方法はあります。ただし一つだけ条件があって、滞納そのものへの手当て(税務署への相談)を必ずセットで行うことです。この記事では、滞納中でも使える調達手段、差し押さえを止めるための猶予制度、そして絶対にやってはいけないことを、順番に説明します。

まずは、今すぐお金を用意する手段からです。

滞納中でも使える手段

滞納があっても、審査の物差しが違えば資金は調達できます。手段ごとに整理しました。

手段滞納中でも使える?理由
請求書の買い取り(ファクタリング)使える会社が多い審査の中心が「取引先が払うか」だから
銀行以外の事業者ローン会社による「税金滞納相談可」と明記する会社がある
銀行融資ほぼ無理納税証明書の提出を求められる
日本政策金融公庫原則むずかしい同上。分納の実績があると相談の余地はある

滞納中の現実的な第一候補は請求書の買い取りです。仕組みがわからない方はファクタリングとは?を先にどうぞ。

ただ、正直にお伝えしておきます。滞納の事実は審査でマイナスに働くことがあり、手数料が高めになる場合があります。逆に、これから説明する納税の相談(分納の合意)を示せると、審査は通りやすくなります。だからこそ、次の「税務署への相談」がセットで大事なのです。

滞納は放置するより、先に窓口へ行くほうが選択肢が残ります。

必ずセットでやること:税務署への相談

「払えないから連絡しない」が最悪の選択です。税務署(社会保険料なら年金事務所)には、払えない人のための正式な制度があります

  • 換価の猶予(かんかのゆうよ):財産の差し押さえ・売却を待ってもらい、原則1年以内の分割納付にできる制度
  • 納税の猶予:災害・病気・大きな損失などの事情があるとき、納税自体を待ってもらえる制度

どちらも申請すれば必ず通るものではありません。ただし相談に来て分納の約束を守っている事業者に対して、いきなり差し押さえが行われることは通常ありません。

参考は国税庁「換価の猶予の申請手続」です。

相談に行くときは、手ぶらより次のものを持っていくと話が早く進みます。

  • 直近の売上がわかるもの(試算表・売上帳など)
  • 資金繰りの状況メモ(毎月の入金と支払いを書き出したもの)
  • 「月いくらなら払えるか」の自分なりの案

なぜここまで「早く相談を」と繰り返すのか。放置した場合に何が起きるかを知ると、その理由がはっきりします。

差し押さえまでの流れを知っておく

滞納を放置すると、手続きは淡々と進みます。

督促状 → 電話・文書での催告 → 財産調査 → 差し押さえ(口座・売掛金など)

こわいのは、売掛金の差し押さえは取引先に通知が行くことです。信用への打撃は、資金繰りの悪化どころではありません。そうなる前に相談へ行く——これがこの記事でいちばん伝えたいことです。

流れがわかると、逆に「やってはいけないこと」も見えてきます。

やってはいけないこと3つ

追い詰められると、つい手を出したくなる選択があります。次の3つは避けてください。

  1. 税務署からの連絡を無視する:上の流れが淡々と進むだけです
  2. 滞納を埋めるために個人の消費者金融やカードローンに手を出す:事業の穴を個人の高金利で埋めると、事業と生活が同時に沈みます
  3. 「税金対応OK・審査なし」をうたう怪しい業者を使う:弱っている事業者を狙う違法業者の典型的な入り口です

3つ目の見分け方は、別記事で詳しく解説しています。

「違法業者の見分け方」を確認する

現実的な動き方(まとめ)

やることを時系列に整理すると、迷いません。

  1. 今週の支払い:請求書があるなら買い取りサービスで当座をしのぐ
  2. 今月中:税務署に相談に行き、分納の約束を取り付ける
  3. 来月以降:資金繰り全体を立て直す

まずは今週の資金を確保して、税務署に行く時間をつくりましょう。

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資金繰り全体の立て直しはこちら


この記事は情報の提供が目的で、特定のサービスへの申し込みをすすめるものではありません。納税に関する手続きは税務署・税理士にご相談ください。

条件:猶予の申請には期限があります

ここが最も見落とされます。

申請による換価の猶予は、納期限から6か月以内です。

放置していた期間が長いと、この選択肢そのものが使えなくなります。

状況使える手続き
納期限から6か月以内申請による換価の猶予を検討できます
6か月を過ぎている分割納付の相談は可能。ただし選択肢は狭まります
差押えの予告が来ているその日のうちに電話してください

期限があることを知っているかどうかで、結果が変わります。

収支の分かる資料があると、猶予の相談が具体的に進みます。

換価の猶予の申請と6か月の期限を読む

手順:窓口へ持っていくもの

相談の予約が取れたら、次を用意してください。

  • 直近の決算書(できれば2期分)
  • 直近の試算表
  • 今後6か月ぶんの資金繰り表
  • 預金通帳の直近の記帳分
  • 納付書や督促状など、滞納額が分かる書類

このうち資金繰り表だけは、手元にないことが多いはずです。

作り方は簡単です。今後6か月について、入るお金と出るお金を月ごとに並べ、月末に残る額を計算します。

入るお金は、確定しているものだけを書いてください。

見込みを混ぜると、窓口で根拠を聞かれたときに答えられません。

いちばん大切なこと

「毎月いくらなら払えるか」を、自分から言えるかどうかです。

「できるだけ払います」では、相手は判断できません。

資金繰り診断で不足額を計算する

文例:窓口での伝え方

そのまま使える言い方をお示しします。

まず電話です。

◯◯株式会社の◯◯と申します。◯◯税の納付についてご相談させてください。一括での納付が難しい見込みですので、分割での納付をご相談したく、お電話いたしました。伺う日をいただけますでしょうか。

来所したときは、金額を自分から出します。

滞納額は◯◯円と認識しております。毎月◯◯円であれば確実にお納めできます。◯月に◯◯社からの入金が◯◯円ございますので、その月は上乗せしたいと考えております。

「払わない」ではなく「払う意思はあるが一括が難しい」と伝えてください。

制度の目的が、納める意思のある事業者を支えるところにあるからです。

条件:社会保険料にも同じ制度があります

税金だけの話ではありません。

厚生年金保険料等にも、換価の猶予という制度があります。

窓口は年金事務所です。税務署とは別なので、両方に滞納がある場合は両方へ連絡してください。

こちらも納期限から6か月以内という期限があります。

社会保険料が払えないときの手順を読む

注意点:やってはいけないこと

追い詰められているときほど、危ない判断をしがちです。

  • 連絡せずに放置する——延滞税が積み上がり、差押えに進みます
  • 売掛金を別口座に移す——滞納処分を免れる行為として、より重い扱いになり得ます
  • 「滞納OK」をうたう業者から借りる——貸金業の登録がない違法な貸付のおそれがあります

放置がいちばん悪い結果になります。

電話は5分です。今日かけてください。

よくある質問

税金を滞納していても資金調達はできますか?

できる手段があります。請求書の買い取り(ファクタリング)は審査の中心が取引先の支払い能力のため、滞納中でも使える会社が多いです。事業者ローンにも「税金滞納相談可」と明記する会社があります。一方、銀行融資や日本政策金融公庫は納税証明書を求められるため、原則として難しくなります。

滞納したまま放置するとどうなりますか?

督促・催告のあと財産調査が行われ、口座や売掛金が差し押さえられます。特に売掛金の差し押さえは取引先に通知が行くため、信用への打撃が大きくなります。そうなる前に税務署へ相談することが重要です。

税金が払えないとき、税務署に相談すると何かしてもらえますか?

「換価の猶予」(差し押さえ・売却を待ってもらい原則1年以内の分割納付にする制度)や「納税の猶予」(災害・病気などの事情があるとき納税を待ってもらう制度)があります。相談して分納の約束を守っている事業者に、いきなり差し押さえが行われることは通常ありません。

滞納を埋めるためにカードローンを使ってもいいですか?

おすすめしません。事業の資金不足を個人の高金利ローンで埋めると、事業と生活が同時に悪化する恐れがあります。まずは税務署に相談して分納にし、事業の資金は請求書の買い取りなど事業向けの手段でつなぐ方が安全です。

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