法人税が払えないとき|決算後2か月の期限
更新日: 2026-08-27
この記事でわかること
- 確定申告書の期限は事業年度終了の翌日から2か月
- 中間申告は開始から6月経過した日の後2月以内
- 申告期限の延長の特例は事業年度終了の日までに出す
- 換価の猶予の申請期限は納期限から6か月以内
- 赤字なら繰戻し還付を確認する。青色申告が要件
目次
法人税を一括で納められそうにない。そう分かった日にまずやることは、資金を探すことではありません。日付を確定させることです。
確定申告書の提出は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。そして払えないまま日を送ると、延滞税は日数に応じて増えていきます。使える手続には、それぞれ別の期限があります。
この記事では、その日付を順番に並べます。
まず結論:期限は事業年度終了の翌日から2か月です
国税庁は、法人税の確定申告書の提出時期を事業年度終了の日の翌日から2か月以内としています。
起点は決算日そのものではありません。その翌日から数えます。
提出期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限になります。カレンダーを見ずに「決算から2か月」とだけ覚えていると、1日か2日ずれます。
まず自社の事業年度終了日を確定してください。次に、その翌日から2か月以内に当たる日を書き出します。「決算後のどこか」を「◯月◯日」に直す。それだけで、残り日数がはっきりします。
なお、申告書の提出期限が延長されている場合は、その延長された提出期限によります。
仕組み:中間申告も同じ2か月で来ます
確定申告だけを予定に入れていると、もう一つの時期を見落とします。
中間申告書の提出時期は、事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内です。決算のあとだけでなく、事業年度の途中にも申告の時期があります。
| 区分 | 国税庁が示す提出時期 |
|---|---|
| 確定申告書 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 |
| 中間申告書 | 事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内 |
一つの表にすると、年間の日程が見渡せます。資金繰りの表に落とすときは、この2つを別々の行として扱ってください。
提出方法は、e-Taxソフトで作成・提出するほか、書面で作成して持参または送付することもできます。

注意点:申告期限の延長の特例は、決算の前に出す制度です
「定款の定め等による申告期限の延長の特例」という手続があります。名前だけを見ると、期限が迫ってから頼るものに見えます。実際は違います。
提出時期は、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までです。
期限が来てから申請しても、その事業年度には間に合いません。ここを取り違えると、手続そのものが選択肢から外れます。
対象になるのは、定時総会が事業年度終了の日の翌日から2月以内に招集されない常況にある場合です。理由は、定款等の定めによるものと、特別の事情があることによるものとがあります。
会計監査人を置いている場合は、少し扱いが違います。定款等の定めにより終了日の翌日から3月以内に定時総会が招集されない常況にあるときは、延長期間の月数の指定を受けようとすることもできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 様式名 | 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書 |
| 添付書類 | 定款、寄附行為、規則または規約の写し |
| 提出先 | 納税地の所轄税務署長 |
| 手続根拠 | 法人税法第75条の2第3項、同条11項、第144条の8、法人税法施行規則第36条の2 |
申請したあとの扱いにも定めがあります。起点は、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日の翌日です。
そこから15日以内に、提出期限の延長または申請の却下の処分がなかったとき。この場合は1月間、提出期限が延長されたものとみなされます。対象はその事業年度以後の各事業年度です。
比較:45日以内に出す「申告期限の延長の申請」との違い
似た名前の手続がもう一つあります。「申告期限の延長の申請」です。
こちらの提出期限は、申請しようとする事業年度終了の日の翌日から45日以内です。先の特例は事業年度終了の日まででした。同じ日付ではありません。
| 比較点 | 定款の定め等による特例 | 申告期限の延長の申請 |
|---|---|---|
| 様式 | 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書 | 申告期限の延長申請書 |
| 提出時期 | 最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで | 事業年度終了の日の翌日から45日以内 |
| 提出方法 | e-Taxソフト、または書面で提出 | e-Taxソフト、または書面で1部提出 |
| 主な根拠 | 法人税法第75条の2第3項ほか | 法人税法第75条第2項、第144条の7、法人税法施行規則第36条 |
45日以内に出すほうにも、処分がなかった場合の定めがあります。起点は同じく事業年度終了の日の翌日です。
そこから2月以内に延長または却下の処分がなかったときは、指定を受けようとする期日により提出期限の延長がされたものとみなされます。
名前が似ているぶん、どちらの様式を出すのかを先に決めてください。

費用:払えないまま置くと延滞税が積み上がります
延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されます。放置しても止まりません。
令和8年の割合は、2つの期間に分かれています。
| 期間 | 延滞税の割合 |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| それ以後 | 年9.1% |
2か月を経過する日が境目です。いま自社がどちらの期間にいるのかを、法定納期限と経過日数から確かめてください。
そして、これは動かせない数字ではありません。換価の猶予や納税の猶予が認められた場合には、延滞税の一部が免除または軽減されます。猶予期間は原則1年以内とされています。
待つほど不利になり、申請すれば軽くなる余地がある。順番はそれだけで決まります。
手順:換価の猶予を申請して分割にする
換価の猶予は、国税を一時に納付すると事業の継続が難しくなるおそれがある場合の制度です。認められれば、分割で納めながら完納を目指します。
通達は、この「事業の継続を困難にするおそれがある」を具体的に示しています。事業に不要不急の資産を処分するなど、事業経営の合理化を行った後においても、なお国税を一時に納付することにより、事業を休止し、または廃止させるなどのおそれがある場合です。
手元資金が薄いという一言では足りません。合理化した後の姿まで含めて見られます。
申請期限は、納期限から6か月以内です。提出先は国税局または税務署とされています。
確認する順番は次のとおりです。
- 対象となる国税の納期限を特定する
- その納期限から6か月以内かを確認する
- 一時に納付した場合の事業への影響を整理する
- 分割納付で完納できる期間を組み立てる
- 国税局または税務署へ申請する
猶予期間は、好きな長さを選べるわけではありません。1年を限度として、分割納付した場合に完納することができると認められる最短期間とされています。毎月いくらにするかを考えるときは、この「最短期間」を基準に置いてください。

注意点:申請できる6か月の間も、差押えは止まりません
「6か月あるなら、まだ余裕がある」。そう読むと危険です。
通達には、換価の猶予の申請期間(納期限から6月)内であっても、滞納に係る国税につき差押え等の滞納処分をすることは妨げられないと書かれています。
申請できる期間と、滞納処分が行われない期間は別のものです。6か月という数字は、申請の可否を分ける線であって、待てる期間ではありません。
まだ期限内なら、納期限と経過日数を確認してください。そのうえで、申請の準備に入ります。すでに税務署から連絡や書面が届いている場合も同じです。納期限、6か月の申請期限、今日の日付を1枚に並べる。それで動く順番が決まります。
手順:赤字なら、前期の法人税が戻る場合があります
出ていくお金だけを見ていると、戻る可能性を見落とします。
今期が赤字なら、欠損金の繰戻しによる還付を確認してください。対象は中小企業者等です。ここには、資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下である法人などが含まれます。
赤字ならどの法人でも同じ扱いになる、というわけではありません。まず自社が対象区分に入るかを見ます。
もう一つの要件が、申告の連続性です。還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告書を提出していることが求められます。当期の損益だけでなく、過去の申告のしかたが効いてきます。
使う様式は欠損金の繰戻しによる還付請求書です。なお、解散等の事実が生じた場合の請求については、その事実が生じた日以後1年以内に提出する定めがあります。
納める手続と、戻る手続。この2つは同じ一覧で管理してください。
注意点:来期に同じ日を迎えないために
同じ月に同じことが起きる。それは日程が読めているということでもあります。
来期のカレンダーに、先に3つ書き込んでください。
- 事業年度終了の日の翌日から2か月以内に当たる日
- 事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内に当たる日
- 申告期限の延長の特例を使うなら、事業年度終了の日
3つ目が一番忘れられます。特例の申請は、事業年度が終わる前に出す必要があるからです。決算が始まってから思い出しても遅い。
期限は、資金の準備を始める日を決めるための情報です。逆算する起点として使ってください。
今日やる一歩
今日のうちに、紙かスプレッドシートに次の5つを書き出してください。
- 事業年度終了の日と、その翌日から2か月以内に当たる日
- 納付できない見込み額
- 対象となる国税の納期限と、そこから6か月後の日
- 今日の日付が、その6か月の中にあるかどうか
- 今期が赤字なら、直前の各事業年度で青色申告書を連続して出しているか
3と4が「はい」なら、換価の猶予の申請を検討できます。提出先は国税局または税務署です。
5が「はい」なら、繰戻し還付の対象区分も併せて確認してください。
順番は、日付の確定が先、資金の手当てが後です。期限が分からないまま資金を探しても、間に合うかどうかを判断できません。
この記事は制度の説明であり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。
参考にした公的資料
- C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告(国税庁)
- C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請(国税庁)
- C1-16 申告期限の延長の申請(国税庁)
- No.5763 欠損金の繰戻しによる還付(国税庁)
- No.9205 延滞税について(国税庁)
- No.9206 国税を期限内に納付できないとき(国税庁)
- G-9 換価の猶予の申請手続(国税庁)
- 国税徴収法基本通達 第151条の2関係 申請による換価の猶予の要件等(国税庁)
よくある質問
法人税の確定申告書はいつまでに出しますか?
原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。提出期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限になります。申告書の提出期限が延長されている場合は、その延長された提出期限です。
決算が間に合いません。申告期限は延ばせますか?
定款の定め等による申告期限の延長の特例があります。ただし提出時期は、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までです。期限が来てから申請しても、その事業年度には間に合いません。
一括では払えません。分割にできますか?
換価の猶予の申請という方法があります。申請期限は納期限から6か月以内で、提出先は国税局または税務署です。猶予期間は1年を限度として、分割納付で完納できると認められる最短期間とされています。
今期が赤字です。前期に納めた法人税は戻りますか?
欠損金の繰戻しによる還付という制度があります。対象は資本金または出資金の額が1億円以下の法人などの中小企業者等で、還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書を提出していることが要件です。