リスケ中でも融資は受けられるか|使える制度と順番
更新日: 2026-09-15
この記事でわかること
- リスケ中だからといって、新しい融資の相談ができなくなるわけではありません。
- 中小・地域金融機関向けの監督指針は、条件変更後の新規融資に積極的に努めるよう求めています。
- 公庫の企業再建資金は、条件変更を行っている方を対象の区分の一つに挙げています。
- 借りたあとは、企業再建計画の実行を怠らないことが要件になります。
- 売掛金を資金化するなら、買戻しの定めなど偽装ファクタリングの特徴がないか確かめます。
目次
まず結論:リスケ中でも新しい融資の道は閉じていません
返済条件を変えてもらった直後は、もう新しくは借りられないと考えがちです。
けれども公的な資料を読むと、条件変更をした会社を前提にした仕組みが用意されています。一つは金融機関側のルールで、中小・地域金融機関向けの監督指針が、条件変更を行った企業からの新規融資の申込みに触れています。もう一つは借りる先です。日本政策金融公庫の企業再建資金は、条件変更を行っている方を対象の区分に挙げています。
ただし、リスケ中なら必ず借りられるという話ではありません。
どの制度でも、再建の見込みと計画が判断の中心に置かれています。だからこそ順番を間違えないことが大切です。先に計画と資料を整え、取引先の金融機関と公庫に相談できる状態にします。借入以外の手段は、契約の中身を確かめてから検討してください。
計画が先、資金の手段はそのあと。この記事はその順番で進めます。
仕組み:監督指針は条件変更後の新規融資にも触れています
金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」には、「新規の信用供与」という項目があります。想定しているのは、貸付けの条件の変更等を行った顧客企業から、新規の信用供与の申込みがあった場面です。
指針は、一定の場合に積極的かつ適時適切に新規の信用供与を行うよう努めるとしています。一定の場合とは、新たな収益機会の獲得や中長期的な経費削減等が見込まれる場合です。それが業況や財務等の改善につながり、債務償還能力の向上に資すると判断されることも条件として書かれています。
つまり、条件変更をしたという事実だけで扉が閉じる書き方ではありません。
一方で、判断の軸ははっきりしています。その資金で何が改善し、返す力がどう高まるかです。足りない分を埋めてほしいという説明だけでは、指針が描く場面と重なりにくいでしょう。
計画の扱いにも注があります。条件変更を行った場合でも、計画が実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に当たれば、それに基づく貸出金は「貸出条件緩和債権」に該当しないとされています。
計画を策定していない中小・零細企業等にも配慮があります。技術力、販売力や成長性等を総合的に勘案し、「金融機関が作成した経営改善に関する資料」がある場合は、これを抜本的な計画とみなす扱いです。
金融円滑化法との関係も押さえておきます。中小企業金融円滑化法は平成21年12月4日に施行され、平成25年3月末に期限を迎えました。それでも金融庁は、金融機関が円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきことは今後も変わらないと明記しています。
種類:公庫には「条件変更先」を対象に含む資金があります
日本政策金融公庫の国民生活事業に、企業再建資金という融資制度があります。
ご利用いただける方は4つの区分に分かれています。企業再建関連、民間金融機関関連、認定支援機関関連、そして条件変更先関連です。
条件変更先関連の原文は、「金融機関からの事業資金の借入について、弁済にかかる負担の軽減を目的とした条件の変更を行っている方」です。リスケ中の会社が当てはまり得る区分が、名前を挙げて置かれていることになります。
資金のお使いみちは、企業の再建を図るうえで必要となる設備資金および運転資金です。融資限度額は7,200万円(別枠)、ご返済期間は20年以内(うち据置期間5年以内)と示されています。
利率は区分ごとに違います。
条件変更先関連は基準利率です。企業再建関連は特別利率C、民間金融機関関連は基準利率または特別利率A、認定支援機関関連は特別利率Bと記載されています。担保・保証人は、希望を伺いながら相談して決めると案内されています。
一つの会社が複数の区分に当たることもありえます。たとえば中小企業活性化協議会の関与の下で再建を図る方は、企業再建関連の区分に含まれています。区分によって示されている利率が違うので、窓口では当てはまりそうな区分をすべて伝えてください。
なお、併用できる特例制度として、経営者保証免除特例制度と賃上げ貸付利率特例制度が挙げられています。
比較:国民生活事業と中小企業事業で条件が違います
公庫の中小企業事業には、事業再生・企業再建支援資金(企業再建・経営改善支援関連)があります。こちらも対象の選択肢に、事業資金の借入金について弁済負担の軽減を目的とした条件変更を行っている方を挙げています。
ただし、要件の組み立て方が違います。
中小企業事業のほうは、(1)~(3)のすべてに当てはまる方が対象です。条件変更は(1)に並ぶ選択肢の一つで、(2)と(3)も満たさなければなりません。
(2)は、相応の債務償還能力が認められ、適切な企業再建計画が策定されていることです。金融機関の協力が得られるなど関係者による支援体制が構築されていることと、自助努力により再建が見込まれることも求められます。(3)は、公庫が融資後も継続的に経営指導を行うことで、円滑な再建が可能となることです。
| 項目 | 企業再建資金(国民生活事業) | 事業再生・企業再建支援資金(中小企業事業) |
|---|---|---|
| 条件変更先の扱い | 独立した区分として記載 | (1)の選択肢の一つ。(2)(3)も必要 |
| 融資限度額 | 7,200万円(別枠) | 直接貸付で20億円 |
| 返済期間 | 20年以内(据置5年以内) | 20年以内(据置5年以内) |
| 使いみち | 設備資金・運転資金 | 設備資金・長期運転資金 |
| 利率 | 条件変更先関連は基準利率 | 基準利率(上限3.0%)など |
| 担保・保証 | 希望を伺いながら相談 | 相談のうえ決定。一定の要件で経営責任者の個人保証が必要 |
限度額には大きな差があります。一方で、返済期間と据置期間はどちらも20年以内・据置5年以内で並んでいます。
どちらの窓口で相談することになるかは、自社だけで決めつけないでください。事業資金相談ダイヤルや取引のある支店で確かめるのが確実です。中小企業事業の申込みは、各支店の中小企業事業の窓口と案内されています。
条件:再建計画を守ることが、借りたあとの約束になります
企業再建資金は、借りた時点で話が終わる資金ではありません。国民生活事業のページには、融資後に守る要件が書かれています。
対象は、区分1・2と、条件変更先関連の区分4です。要件は「合理的な理由無しに企業再建計画の実行を怠らないこと」です。あわせて「当該計画に記載された事項に背反しないこと」も求められます。
要件を満たさなくなったことが判明した場合は、繰上償還をしなければなりません。特別利率で借りていたときは、基準利率による利息相当額との差額の支払いも必要になります。
認定支援機関関連の(2)に当たる方には、別の約束があります。計画期間内に年1回以上、経営改善計画の進捗状況を公庫に報告することです。
ここから読み取れるのは、計画と一体で使う資金だということです。
リスケを申し入れたときに作った計画や資料があれば、それが出発点になります。数字が古くなっているなら、直近の資金繰り表で更新してから持ち込んでください。公庫は留意事項として、審査の結果、希望に沿えないことがあるとも明記しています。
手順:相談の前にそろえる資料と電話の窓口
公庫の「よくあるご質問」には、返済条件の見直しに関する回答があります。まずはお取引支店に相談し、資料として税務申告書・決算書、資金繰り表、経営改善計画書等をお願いしているという内容です。状況に応じて、提出資料は省略を含めて柔軟に対応すると書かれています。
注目したいのは、その続きの一文です。
「返済条件の見直し後においても、資金繰りのご相談を承っております。」とあります。リスケ後の資金繰りを公庫に相談すること自体は、公式に想定されているわけです。
電話で先に確かめるなら、事業資金相談ダイヤル 0120-154-505があります。受付は平日9時〜17時です。創業をお考えの方、創業して間もない方、個人企業・小規模企業の方は、平日19時まで受け付けています。
相談までの流れは、次の5つに分けると迷いません。
- 条件を変えた借入を一覧にする(金融機関名・残高・変更後の返済額)
- 決算書・税務申告書と、直近の資金繰り表をそろえる
- 経営改善計画書、または金融機関と共有している改善の資料を用意する
- 新しい資金で何が改善し、返す力がどう変わるかを1枚にまとめる
- 相談ダイヤルか取引支店で、企業再建資金のどの区分に当たるかを確かめる
4番目の1枚は、取引銀行との話にもそのまま使えます。監督指針が挙げる収益機会の獲得や経費削減に沿って、資金の使い道を説明する形です。
注意点:借入以外で売掛金を資金化するときの確認
融資の結論が出るまでの間に、売掛金の資金化を考える会社もあるでしょう。金融庁の説明では、ファクタリングは法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。借入とは契約の性質が異なります。
一方で金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者に注意するよう呼びかけています。
貸金業に該当するおそれがある例も示されています。譲渡した債権の回収が売主に委託され、売主が集金できなかった場合の取り決めです。売主が債権を買い戻すとされているもの、売主自身の資金で支払わなければならないとされているものが挙げられています。
判断は契約書の文言だけでは決まりません。ノンリコースの規定があるかといった形式だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されると書かれています。
受け取る買取代金が債権額に比べて著しく低額である場合も、偽装ファクタリングの疑いがあるとされています。年109.5%を超える利息の契約をした場合は、消費貸借契約自体が無効になるとも示されています。
リスケ中の会社にとって、返済の負担を実質的に増やす取引は計画そのものを揺るがします。契約前に買戻しの定めがないかと手数料の大きさを確かめてください。少しでも心配な点があれば、弁護士への相談も選択肢です。
今日やる一歩
今日やることは、相談用の資料を1つにまとめることです。決算書・税務申告書、資金繰り表、経営改善計画書、条件を変えた借入の一覧を並べます。
そこへ紙を1枚足してください。上に新しい資金の使い道を書き、下にそれで何が改善し、返す力がどう変わるかを書きます。この1枚が、銀行にも公庫にも同じ説明をするための土台になります。
準備ができたら、事業資金相談ダイヤルに電話します。尋ねるのは、企業再建資金のどの区分に当たりそうかです。
売掛金の資金化も並行して考えるなら、契約書の買戻しの定めを読むところから始めましょう。
参考にした公的資料
- 日本政策金融公庫「企業再建資金」
- 日本政策金融公庫「事業再生・企業再建支援資金(企業再建・経営改善支援関連)」
- 日本政策金融公庫「よくあるご質問」
- 金融庁「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(II 銀行監督上の評価項目)」
- 金融庁「中小企業等に対する金融円滑化対策について」
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
このページは資金調達の判断材料をお伝えするものであり、特定のサービスの利用を勧めるものではありません。制度や条件は変わることがあります。実際のお手続きの前に、必ず各機関・各社の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
リスケ中でも新しい融資の相談はできますか?
相談はできます。日本政策金融公庫は返済条件の見直し後も資金繰りの相談を受け付けると案内しています。ただし融資の可否は審査で決まります。
条件変更中の会社が対象になる公的な融資はありますか?
日本政策金融公庫の企業再建資金は、事業資金の借入について弁済負担の軽減を目的とした条件変更を行っている方を、対象の区分の一つにしています。
企業再建資金の融資限度額はいくらですか?
国民生活事業の企業再建資金は7,200万円(別枠)です。中小企業事業の事業再生・企業再建支援資金は直接貸付で20億円です。
借りたあとに守ることはありますか?
合理的な理由なく企業再建計画の実行を怠らないことなどが要件です。要件を満たさなくなったと判明した場合は、繰上償還を求められます。