リース料が払えないとき|途中解約は残り全額の請求
更新日: 2026-08-07
この記事でわかること
- ファイナンス・リースは原則として中途解約ができないこと
- やめると残りの期間分を一括で請求されること
- だから「解約して楽になる」という発想が使えないこと
- リース会社への相談で、まず何を頼むか
- 支払いを続けながら資金を作る順番
目次
コピー機、社用車、厨房設備、建設機械。リースで入れたものの支払いが重い。
このページでは、リース料が払えないときに、何をどの順番でやるかを説明します。
最初に、リースには他の支払いと違う性質があることをお伝えします。次に、リース会社への相談の仕方を説明します。そのあと、資金を作る方法を並べます。最後に、次に契約するときの注意に触れます。
まず結論:リースは「やめれば楽になる」が通用しない
先に、いちばん重要な事実をお伝えします。
ファイナンス・リースは、原則として中途解約ができません。
理由は仕組みにあります。リース会社は契約の開始時に、物件の代金をメーカーや販売店へ全額支払っています。そのお金を、リース期間中の毎月の支払いで回収する設計です。
だから途中でやめられると、リース会社は回収できません。
リース事業協会は、次のように説明しています。やむを得ず中途解約する場合には、残りの期間分のリース料を一括で支払うよう定められている、というものです(出典: リース事業協会「リース契約の特徴」・2026年8月7日確認)。
つまり、どうなるか
月10万円のリースが、あと3年残っているとします。
やめると、360万円を一括で払うことになります。
毎月払い続ける場合と総額はほぼ変わりません。変わるのは支払う時期だけで、それが今すぐに前倒しされます。
資金繰りが苦しいときに、これは最悪の選択です。
だから「解約して楽になる」という発想は、リースでは使えません。ここを最初に理解しておく必要があります。
仕組み:滞納すると何が起きるか
やめられないなら、払わないとどうなるか。
順番はこうです。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 支払日を過ぎる | 遅延損害金が発生する |
| 滞納が続く | 督促が来る |
| さらに続く | 契約が解除される |
| 解除後 | 物件を引き揚げられ、残債を一括請求される |
いちばん重いのは、物件を引き揚げられることです。
社用車がなくなれば配送が止まります。厨房設備がなくなれば営業できません。建設機械がなくなれば現場に入れません。
設備を失うと、返済する原資となる売上そのものが消えます。これが最悪の結末です。
手順:リース会社へ相談する
だからこそ、滞納する前に連絡します。
何を頼むか
対応は会社と契約によって違います。一般的に相談できるのは次のようなことです。
- 支払期日を月内で後ろにずらす(月初から月末へ、など)
- 一時的に支払額を減らし、その分だけ期間を延ばす
- 遅れる月の支払いを、翌月にまとめる
いずれも応じるかどうかは相手の判断です。権利として請求できるものではありません。
そのまま使える文面
◯◯株式会社の◯◯と申します。契約番号◯◯のリース料についてご相談させてください。 主要取引先からの入金が翌月にずれ込んだ関係で、◯月◯日のお支払いが難しい見込みです。 ◯月◯日には確実にお支払いできますので、今回に限りお待ちいただくことは可能でしょうか。難しい場合は、お支払日を月末に変更していただくご相談でも構いません。
「今回に限り」と幅を持たせると、相手が応じやすくなります。
そして、代替案を自分から出してください。「待ってほしい」だけより、「期日の変更でも構わない」と添えたほうが話が進みます。
引き落とし日を確認しておく
複数のリースがある場合、引き落とし日がバラバラなことがあります。
すべてのリースについて、引き落とし日と月額を一覧にしてください。月内のどの日に、いくら出ていくかが見えます。
日付をずらすだけで乗り切れる月があるかもしれません。
比較:資金を作る
相談と並行して、資金が要ります。安い順に当たります。
出ていくお金を止める
仕入先への支払いを待ってもらう方法があります。税金や社会保険料には法律上の猶予制度があります。
どちらも費用がかかりません。
売掛金を資金化する
取引先に出した請求書があれば、入金日を待たずに現金にできます。
借入ではないため、審査で主に見られるのは自社ではなく取引先の支払い能力です。
リースの場合、判断の基準がはっきりしています。
その設備が売上を生んでいるなら、止めないための費用は正当です。社用車がなければ配送できないなら、手数料を払ってでも維持する価値があります。
逆に、使っていない設備のリース料のために手数料を払うのは、損を広げるだけです。その場合は次の章をご覧ください。
条件:使っていないリース資産がある場合
契約書を出して、次の3つを確認してください。
- 残りの期間はどれくらいか
- 中途解約したときの規定損害金はいくらか
- 再リースや買取りの条件はどうなっているか
残りが数か月なら、払い切るほうが安く済みます。残りが長く、まったく使っていないなら、リース会社に相談する価値はあります。
いずれにしても、勝手に返却したり、使用をやめたりしないでください。契約上の義務は続きます。必ず先に連絡してください。
注意点:次に契約するとき
今回を乗り切ったら、次の契約で同じことを繰り返さないための確認点です。
- 期間が長すぎないか——長いほど月額は下がりますが、拘束される期間も延びます
- 本当に必要な仕様か——過剰な機能の分だけ月額が上がります
- 中途解約の条件はどう書かれているか——契約前に規定損害金の計算方法を確認します
- 買ったほうが安くないか——公的融資で買えるなら、金利は年1〜3%程度です
向き不向き:リースと購入のどちらが資金繰りに向くか
今回の経験をふまえて、次の判断材料を持っておいてください。
同じ設備を入れるにも、リースと購入では資金繰りへの影響が違います。
| リース | 購入(融資) | |
|---|---|---|
| 初期の支出 | 少ない | 大きい(融資なら平準化できる) |
| 途中でやめる | できない | 売却できる |
| 期間中の柔軟性 | 低い | 高い |
| 所有権 | リース会社 | 自社 |
いちばんの違いは「やめられるかどうか」です。
購入した設備なら、使わなくなったときに売却できます。売却代金を資金に充てることもできます。
リースはそれができません。使っていなくても、期間が終わるまで払い続けます。
どちらを選ぶかの目安
- 技術の入れ替わりが速いもの(複合機・パソコンなど)——リースが向きます
- 長く使うもの(車両・工作機械など)——購入を検討する価値があります
- 売上を直接生むもの——購入して資産にしておくと、いざというとき売れます
公的融資で購入する場合、金利は年1〜3%程度です。返済期間も長く取れます。
リースの月額と、融資で買った場合の返済額を並べて比べてください。思っていたより差がないことがあります。
条件が合いそうであれば、見積もりを取るところからです。相談だけであれば費用はかかりません。
今日やる一歩
このページを閉じたら、最初にやることを1つだけ決めましょう。
- 今月が厳しい——リース会社に電話し、支払える日を伝える
- 複数の契約がある——引き落とし日と月額を一覧にする
- 使っていない設備がある——契約書を出し、残期間と規定損害金を確認する
勝手に支払いを止めるのだけは避けてください。設備を失うと、売上そのものが止まります。
参考にした資料
- 公益社団法人リース事業協会「リース契約の特徴」——中途解約ができない理由と、残期間分の一括支払い(2026年8月7日確認)
- 金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」——実質的な貸付への注意(2026年8月7日確認)
このページは、資金調達と関連制度の判断材料をお伝えするものです。特定のサービスの利用を勧めるものではありません。リース契約の条件は契約ごとに異なります。実際の対応にあたっては、必ず契約書とリース会社の案内をご確認ください。
よくある質問
リース契約は途中でやめられますか?
ファイナンス・リースは原則として中途解約ができません。リース会社が開始時に物件代金をサプライヤーへ全額支払い、期間中のリース料でその代金と諸費用のほぼ全額を回収する仕組みだからです。公益社団法人リース事業協会の説明では、やむを得ず中途解約する場合は、残りの期間分のリース料を一括で支払うよう定められているとされています。
解約したほうが安くなりませんか?
なりません。残期間分を一括で払うことになるため、毎月払い続ける場合と総額はほぼ変わらず、支払時期が今すぐに前倒しされるだけです。資金繰りの観点では、解約のほうが不利になります。
リース料を滞納するとどうなりますか?
契約に基づき、遅延損害金が発生します。滞納が続けば契約を解除され、物件の引き揚げと残債の一括請求に進みます。事業に必要な設備であれば、引き揚げられた時点で仕事そのものが止まります。だからこそ、滞納する前にリース会社へ連絡することが重要です。
リース会社に相談すると、何をしてもらえますか?
対応は会社と契約によって異なります。一般的には、支払期日を月内で後ろにずらす、一時的に支払額を減らして期間を延ばすといった相談になります。応じるかどうかは相手の判断ですが、滞納してから連絡するより、期日の前に相談したほうが選択肢は残ります。